第3話 鋼と雷の裁き


アクセルは立ち上がり、荒い息をつきながら、曇った空を見上げた。

「どこだ、あのバブル?絶対に潰す…!」


周囲を見渡すと、その目は大きく見開かれた。

「は?投げる時間があったのか…あの枝の上に…?」

彼はゆっくりと近づいた。

「まさに説明通りだ…小さなガラスのキューブで守られている。」

ためらいが走る。

「今、潰すか…それともボスに持っていくか?」


ガラガラとした声だが、まだ生きている声が沈黙を破った。

「俺を倒せると思ったのか?」


ベニーヌは膝をつきながら、体を起こすのに苦労していた。体は煙を上げ、黒焦げの肉から痛みが伝わってくる。

(ありがとう、イラ…君がいなかったら、もう死んでいたかも。出発前に君を手に入れておいてよかった…)と思いながら、思い出がよみがえった。



---


フラッシュバック — 出発の三日前


— アラ・ワザビ:「ベニーヌ、ついて来い。渡したいものがある。」


ベニーヌは興味津々で:

— 「はい、父さん。(いったい何だろう…)」


ワザビ領の地下室は静まり返っていた。重い扉が開く。

その奥には静かな水面があり、松明の光を映していた。


— 「池…?」


— 「違う、息子よ」アラは落ち着いた声で言った。

「この池には聖なる水がある。そして底には…イラが眠っている。」


ベニーヌは手を突っ込み、刃を握り、尋ねた:

— 「父さん、この剣の何がそんなに特別なの?」


— 「イラは七世紀、聖なる水の中で休んでいた。

持ち主を癒し、命を戻す力がある…だが、鞘に納められている間だけだ。

抜けば、その力は一か月失われる。忘れるな、息子よ。」



---


ベニーヌは現実に戻り、アクセルを見据えた。

— 「どうした、アクセル?幽霊でも見たのか?」


— 「その回復はズルだな、ワザビ…」

(それとも…それが君のBurstか?痛みを伴う再生か…)と眉をひそめる。


彼は拳を握り、血が滲むまで締め付けた。赤い滴が空中に舞った。

— 「第一撃:血のフラクタル稲妻!」


稲妻が空から放たれ、血の滴を貫いて数十に分かれた。

雷は赤くなり、怒りを帯び、二重三重に増幅し、あらゆる角度からベニーヌを襲った。

轟音が山を震わせた。


ベニーヌは叫んだ。衝撃は肉と神経を切り裂く。

この時、彼は理解した:アクセルは遊ぶためではなく、耐久力を試し、分析していたのだ。


— 「ワザビ…苦しんでいるようだな。でも、まだ何も見ていない!」


息を切らせながら、ベニーヌは微笑んだ。

— 「母さんの平手打ちのほうが、君の二流の稲妻より痛い…」


アクセルは眉をひそめ、突進する。拳同士がぶつかる。

足元の岩がひび割れた。


突然、アクセルは跳ねるように後退し、呼吸を整え、視線を定めた。

ベニーヌは彼を追ったが、罠にかかっていることに気づいていなかった。


足元には汗の水たまり。後ろにも水たまり。アクセルの予想通り。


— 「第二撃:逆嵐!」


アクセルは手の動きでBurstを呼び出した。

雷が二つに分かれ、水たまりに同時に落ちる。

光の爆発、衝撃波:地面が変形し、電気を帯びた岩が飛び散った。

ベニーヌは二つの衝撃の間に捕まり、稲妻の暴力に押し潰され叫ぶ。


— 「痛いだろう、ワザビ?絆創膏いるか?ハハハ!」


息を切らせながら、ベニーヌはなんとか身を引いた。

— 「取っておけ…俺が終わらせたときに役立つ。」


アクセルは走りながら彼の頭を地面に叩きつけ、さらに遠くに投げ飛ばした。

— 「もう喋る力もないのか…哀れだ。」


ベニーヌの周囲には、稲妻の下で輝く釘の円ができた。

アクセルは指先で一つに触れた。


— 「第三撃:天旋渦!」


雷は釘から釘へと跳ね、電気の竜巻を形成する。

空は叫び、空気が震える。音だけでも鼓膜を破りそうだ。

ベニーヌは渦の中心に捕まり、痙攣し、焼け焦げる。

思考は混乱し、息は断ち切られる。

(反撃するしかない…さもなくば死ぬ。)


竜巻が静まると、ベニーヌは膝をつき、焦げながらも生きていた。

アクセルは落ち着き、ほとんど厳粛に近い様子で近づき、焼けた顔に手を置いた。


— 「最後だ、ワザビ…名前は何だ?」


ベニーヌはかすれた息でささやいた:

— 「わ…俺の名前は…ベニーヌ。」


風が山を駆け抜ける。空は再び轟く。

嵐の心臓が再び鼓動した。





—— 終わり ——


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