(仮)記憶喪失の異世界少女が行く、ファンタジー日本
瑠璃
プロローグ
第1話:死んだ私。与えられた罰。
……私は、戦っていたはずだった。
宝箱を開けた瞬間、現れた"なにか"と。
仲間の叫び声と大量に流れる私と"敵"の血。そこまでは覚えている。
なのに、今目の前に広がるのは死体だらけの景色ではなく、神秘的とも思ってしまうような真っ白な空間だった。
「……ここは、どこ?」
そう声を出すと、音は吸い込まれるように消えていく。
そのとき、声が空間に響いた。
「突然ですが、あなたは死にました。」
その言葉と同時に、目の前には2対4枚の翼をもった天使が現れた。
「...私は急に現れたやつらを倒し切ったと思ったけど、油断しちゃったみたいね。」
そういって皮肉っぽく笑って見せたが、天使からの反応はなかった。
もしかしたら最後に戦った敵のことが聞けるかもと思い、聞いてみた。
「あれって、どういう敵だったの?私、勝てそうだった?」
「いえ、あなたが戦っていたのは...」
その声は何かを言いかけて口をつぐんだ。
少しの沈黙の後、空間に響く声はため息をはいた。
「本題に入りましょうか、九英雄が一人、アリシェナ・ティアルム。あなたは世界のダンジョンをすべて踏破しました。」
「そうね。」
「それを確認できたため、あなたは死んだ直後にこの世界間転移の間に呼び寄せられました。」
天使は一息つき、口を開く。
「あなたをこれから、元いた世界ではない別の世界に送ります。別世界に行ったあなたはその世界のダンジョンの最奥で目覚めることでしょう。しかしそこから出ることは、しばらくの間かないません。また自分の意思で行動することはできないでしょう。あなたは自らが散々殺してきたダンジョンボスの一員となり、本能のままに、ダンジョンを攻略をしようとする探索者らを阻む役割を担うのです。」
「……??」
突然のことに理解が追いつかなかった。
聞こえてきた言葉は、頭の中でただ反響している。
私は自分の置かれている状況が読めず、ただ呆然とするだけだった。
だがその言葉を理解した時、私は「ふざけないで」と抗議しようとした。
けれど、私の口からその言葉が発せられることはなかった。
言葉を発せられずに、口を開ける私を無視して、その声はまだ話し続ける。
「ですが...」
そこで響く声はほんの少しだけ柔らかくなった。
「あなたがダンジョンの中で殺されたならば、その時こそ次の世界での「自由」を手にすることができるでしょう。」
その言葉と同時に、真っ白な空間はゆっくりと闇に飲まれていく。
それに抵抗できずに、空間と一緒に私の意識は闇に飲まれた。
「頑張って耐えてくださいね。」
悪戯に笑うような口調で発せられた言葉が、最期の瞬間に聞こえた気がした。
ーーーーーーーーーーーーーー
あとがき
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
まだまだなつたない文章だと思いますので、指摘やアドバイスなどあればぜひご意見お願いいたします。
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