ここには悪い人もいないし、嫌な気持ちになることもない。ストレス社会の中のオアシスみたいに、優しい心を取り戻してくれるような小説です。疲れた夜、暇な時間、嫌なことがあった日。折々でふらっと立ち寄ってはお話を覗きに来ていました。……それはまるでふらりと屋台に立ち寄ったお客さんみたいに。
思い出の味を作るという単純なお話の中で語られるそれぞれのエピソードも興味深いものでした。料理の味、香り、見た目……いろいろな要素が記憶を引き出して、最後には満足して帰っていく。そんな構成も素敵。もしも私が屋台に寄ったら何を作ってもらおうかな、なんて妄想をしながら最後まで読ませていただきました。
心温まるお話、とても楽しかったです。ごちそうさまでした。