灰とキャンディ

夕凪あゆ

第1話


夜の角で ほどけたリップの色

君の声がまだ 胸に残ってる

Q.笑ってたのは誰? A.鏡の中の亡霊

壊れたみたいにループする「好き」の残響


欠けた月の裏で 溶ける記憶たち

何度リロードしても 君は映らない

手のひらに残る あの熱の幻

鼓動が止まり 世界が歪む


キャンディーみたいに甘い嘘

包み紙の中 泣きそうな心

「大丈夫」って言葉ほど 脆いものはない

壊れたスマホ越しの祈り


ねぇ、夜ってさ、

誰かの寂しさでできてるんでしょ?

君の笑い声が、

今日もこの街に溶けていく


青く染まる心臓、拍を忘れて

「また明日」って嘘をついた

それでも君の影を探してる

廻る夜に沈んでいく


もしもこの想いが罪なら

ちゃんと罰を受けるよ

だって君の存在で、

救われた痛みもあったんだから。


曖昧なままの愛でいい

歪なままの二人でいい

灰になるまで踊ろうよ

さよならすら、歌に変えて


静かな鼓動、夜明けを待たずに

涙ごと眠れたらいいのに

朝がくるたび 君のいない現実を

もう一度、受け入れなきゃいけないんだね


それでもね、

誰にも言えないような優しさが

まだ、喉の奥に残ってる

名前を呼べば、痛いくらいに。

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灰とキャンディ 夕凪あゆ @Ayu1030

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