マヨちゃんマヨちゃんマヨちゃんマヨちゃんマヨちゃん
上下反転クリアランス
第1話
Chapter1.
~~~姉と妹~~~
幕間。あんた達。
これが
なにか分かるか?
わたしは家の片隅にある、木の根っこ部分に生えた緑色の発光を示す毒々しいキノコを指さした。見たとおり、キノコだ。しかし当然ただのキノコではない。グリーンベイル。摂取したものに強い幻覚作用をおよぼす。摂取量によっては一定時間後にとつじょとして耳の穴から噴水のごとく多量出血をひきおこし即死にいたる作用ももつ。効能、見た目、ともに危険性の高いキノコだ。昨今、キノコに詳しくない者でも安易にキノコは摂取してはならないという認識がひろがりつつある中、これを摂取する者はそうはいない。
『あら~マヨちゃん、なんてかっこうをしてるの』
『ああ、かわいい。わたしのマヨちゃんマヨちゃん』
『マヨちゃーんッ、オホッオホッオホッ』
『くけぇぇぇえぇぇえええええええッ』
しかし、中にはいるのだ。
そんな馬鹿をする例外が。
それが目の前にいるこいつ。汚ならしい体液を穴という穴からまきちらし、ただひとり奇行と奇声をあげる女。わたしの姉である。まことに遺憾ながら。安易にキノコを摂取し幻覚作用で恥態を見せる愚かな姉。そんな愚姉に冷たい視線を向けつつ、ため息をついた。
なんとかしなければならない。このまま放置はないだろう。幸いわたしは薬師であった。解毒剤の調合は得意なほうだし、これまた幸いにもこの毒キノコの解毒剤も在庫にあった。わたしは木棚から目的のブツを取りだすべく棚を漁った。
幕間。あんた達。しかしその時、予想だにしないことが起きた。真後ろから抱きつかれると同時に胸を揉みしだかれ、さらには耳を舐められる。耳が粘着質な唾液にまみれる感覚。あまりの感覚と出来事にわたしは悲鳴をあげた。
「やん、かわうぃ~」
無論、
だれだと探るまでもなく
わたしの姉である。
わたしは怒った。
「ちょっと姉さんッ、なにすんのよッ」
「スキンシップ~」
「気持ち悪いからやめてッ」
「や~だ~、さびし~い~」
ひどくうざかった。
腹立たしさ。
憎悪。あらゆる負の感情が大きく膨らむのを感じる。しかしわたしは我慢した。今の姉はキノコの幻覚作用に悩まされる病人だ。この奇行はキノコのせいであり、姉に罪はない。そう自分に言い聞かせる。でなければやってられない。とっとと解毒剤を飲ませて終わらせよう。
「ほら、姉さん。薬よ。とっと飲んで治しなさい」
わたしは薬瓶を開けると。
そのまま姉に手渡した。
姉の状態は手足はおぼつかなく、酩酊の状態ではあるが一応わたしの声は聞こえていた。指示は理解したようだった。『うぃ~』とだらしない声をあげつつ薬瓶を受けとる。それでいい。ほら、飲みなさい。指示をすると姉はそれをあおって飲みあげる。そして……盛大に吐きだした。
わたしの顔面に目がけて。
「マッッッッズッ」
愚姉はべっぺっと。
口内に残った解毒剤の残液を懸命に吐き出した。
わたしの顔面に目がけて。
そう。わざわざわたしの顔面に目がけてだ。薬液と姉の唾液がブランドされた汚液が、わたしの顔面からつたった。汚液はボタボタと顎から垂れ、足元に水溜まりができる。わたしは棒立ちであった。
「もうっ、なんてものを飲ますのよ~~!」
すると
愚姉が怒ってますとばかりに
プクーっと頬を膨らませた。
『ゲロでも飲んだのかと思ったわ~』
『こんなものを飲ますなんてマヨちゃんは悪い子』
『そんな悪い子にはお仕置きしなくちゃ~!』
『口直しも含めて』
と言ってわたしを詰ると、
姉はまた
わたしに抱きつきだした。そして間もおかずに、今度はブチューっと唇が重なる。口付けを交わした。つまりマウストゥマウス。キスである。しかも舌を入れられる深いものだ。いったいなにが起きているのか。わたしにはなにもわからなかった。
わたしは事、ここに至っても棒立ちであった。思考は混乱の渦にあったが一方で感情的な部分はひどく冷静な自分がいた。そう。わたしは呆然としつつどこか冷静であった。
「ぷはっ」
姉が唇を離す。
長い。
実際には数秒だったのかもしれないが。あまりにも長いディープキスが、今ようやく一区切りして姉が唇を離した。
「…マリ「いやん、もう最ッ高ッッッッッ~~」
わたしは呆然と言葉を発するが。
姉はそれどころではないようだ。
『さすが私のマヨちゃああん』
『マヨちゃんヨダレおいしいいいいッ~~。
口の中がもう幸せ~~』
『もっとキスしちゃお~っ』
ぶちゅ~~~~ッ
「うはあああああああもっとおおおおおおおお」
ぶちゅ~~~~~ッッ
「くケエエエエエエエエエエエエエエエエエッッッッッッ」
ぶちゅ~~~~~ッッッ
ベロベロベロベロベロベロッ
幕間。あんた達。
繰り返されるディープキス。そして奇声。
犯される口内。
不快感極まる粘液がベタベタぐちゃぐちゃと口の内外を這いまわる。思考は空白。ただ呆然と脱け殻になる中で、わたしはただ棒立ちとなった。愚姉はわたしは両手両足を使って抱きつく、いわゆるだいしゅきホールド。その姿勢をもってわたしの口内をただひたすら犯していた。わたしは直立。ただ不動だった。
『…………』
『…………………』
『…………………………………………』
こいつは。
なんだ?
「オホッオホッオホッオホッオホッオホッオホッ」\\\
愚姉が腰を振りだす。
ヘコヘコと。
ただがむしゃらに。
眼球は上転。その顔は正気ではなかった。頬は蒸気を発し、ひたすらに腰を振るその姿は発情した猿そのもの。腰を振ってる都合上、姉の下半身がわたしの下半身に擦り付けられることになる。姉の恥骨辺りはビチャビチャと湿っており、必然的にわたしの衣類も汚染される。実の姉の嬌声。それが実妹であるわたしの眼前から降り注ぐ。その事実に。
わたしは思った。
ここは地獄か。
「おへぇエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエッッッッッッッ!!!!!」
一際高く上がる、嬌声。
実姉の汚声が
室内を木霊する。
愚姉がのけぞるようにえび反りになって、だらしなく大口を開けた。舌が天へと突きだされる。同時に、下半身から間欠泉のごとくが汚水が噴出。
幕間。あんた達。そう。見た通りだ。愚姉は昇天した。だらけきった顔はある種の満足を表していた。実の姉が。妹に抱きつき。腰を振って。昇天。わたしは思った。
__ゴミが。
ドゴッッッ……ッ
ボキボキボキボキッッ……ッッ
「ッポケぇッッッ!!!??__ 」
幕間。あんた達。
わたしの前で、姉の悲鳴が飛び出す。
わたしは全身全霊。
渾身の力を込めて姉の股間に膝蹴りを浴びせた。昇天して精神的に緩みきっており。なおかつ、だいしゅきホールドでわたしと身体を固定していた姉に避ける術など当然なかった。膝蹴りは寸分の狂いもなく股間に命中。恥骨を含む骨盤全体から爆ぜるような粉砕音が響いたが、それに対する感慨をわたしは持ち合わせていない。
姉はホールドを外し、
そのままパタリと。一夏の寿命を尽かせたセミのように地面へと倒れた。流涙し、口から泡を吹かせた。しかしあまりの痛みにもはや声は出せないようだ。姉の魂はそこにはなかった。
しかし、だからなんだ。わたしの胸中にたぎる負の感情は留まることを知らない。こいつはなんだ?ゴミだ。ゴミムシだ。ゴミムシは駆除しなくては。わたしは追撃を浴びせた。
「ゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがゴミがッッッッ」
ドゴッ
ドゴッ
ドゴッ
ドゴッ
ドゴッ
ドゴッ
衝撃と。
粉砕。わたしはただひたすらに、倒れている姉の股間を踏み砕いた。初撃であの世へと旅立った魂だったが、二撃目の衝撃でこの世の現実に姉の魂を連れ戻すことに成功した。しかし姉の魂の所在など今のわたしには路傍の石ほどに興味はない。踏み砕くたびに木っ端音が響き。姉の悲鳴が上がった。
『アガッ、ま、マヨちゴボッ』
『マ、ヨちゃポケぇッッ』
『し、死んじゃう死んじゃうからポキャッ』
『お願いッッ許してッッ、
許してぇえええええッッコキャッッ』
姉が
なにか言っている。
「お願い……__ 」
姉が流し目でわたしを見上げた。
「お嫁に………行けなくなっちゃう~」\\\
幕間。あんた達。
わたしの耳に。
姉のその言葉が。木霊した。小さな声。姉が苦痛に悶える中、媚びるように流し目で、確かにそう言った。愚かな姉はただ命乞いをしただけなのだろう。言っていることはアレだが、姉の性格を踏まえれば命乞いでも言いそうな内容だ。しかし、この時、闇に飲まれたわたしは正常ではなかった。命乞いでこの内容。からかわれている。そう思った。命の危機に瀕してなお、わたしをおちょくるその姿勢に。わたしの怒りは更新され続ける頂点をさらに更新した。
「この気持ッッッち悪いゴミムシッッがアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッ!!!!!!!」
「ボヘェエエエエエエエエエエエッッッ!!!???」
わたしは怒りのままに。
姉の腹部を。
渾身の力を込めて踏みつけた。
鋭い一撃。姉は繰り返し悲鳴をあげたその口でさらに悲鳴をあげた。腹部にわたしの脚が深くめり込む。脚撃の衝撃に伴い、姉の股ぐらから内臓が飛び出した。内臓。そう。子宮である。めくりかえった子宮。意図していた訳ではない。しかしわたしは半ば無意識に、それを待っていたかのようにその子宮を掴みあげると、ブチブチと姉の体から引きちぎり。全身全霊、怒りで膨れあがった腕力のままに部屋の壁へとそれを叩きつけた。
バッシャーーーンッッッ
血肉と水滴が爆ぜる音。
無論、
子宮は原型を留めず
木っ端となって四散した。これで姉は嫁に行けなくなった。あまりの出来事に姉は声も出ないようだった。目が点となって呆然とした。
ちーーーん
姉はコテンと
力尽きて死んだ。身体的な損壊もあるだろう。しかしそれよりも自らの子宮に起きた残酷すぎる結末に精神的負荷がかかりすぎたのかもしれない。姉は心身ともにショック死した。魂が解脱する。
わたしは家出した。
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