音のなる場所

ほー

プロローグ

春の風が、桜の花びらを運んでいく。

その中で、私はただ、校門の前に立ち尽くしていた。


——また、ここから始まるんだ。


新しい制服。新しい学校。

でも胸の奥には、まだあの頃の痛みが残っている。

笑うことが、少し怖い。

誰かと目が合うと、息が詰まる。


それでも。


あの日の私とは、もう違う。

もう一度、ちゃんと笑えるようになりたい。


そんな小さな願いを胸に、私は一歩を踏み出した。

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