転生の間にも三年【異世界で成り上がる予定なので美少女達と事前準備(意味深)しまくります】(旧題 神の間生活100日目)
星野林
プロローグという名の神の間での生活
第1話 必殺のミサイル
ジジジと天井から安っぽい電球が部屋の中を照らし、四方に扉がある正方形の部屋の中に俺は居た。
いや、正確には俺達である。
横には額に手を当てて困惑しているバイト先の先輩、反対側には親父の再婚相手が連れてきた2つ年下の義理の妹。
義妹の横には俺の通っている高校の同じクラスで好きだった人の妹さん……義妹の親友が立ち尽くしていた。
全員全裸で……。
なんだ、ハーレム野郎か? と言われるかもしれないが、状況がそんな感じではない。
何故ならついこの前まで俺達はこんな場所に居なかったし、ちゃんと服を着ていたのだ。
羞恥心より恐怖の方が勝ってしまう。
困惑する俺達であったが、部屋の中央に置かれたブラウン管テレビの画面が点き、映像が流れ始める。
映っていたのは俺のバイト先であった。
「桜花先輩、今日はお客さんやけに少ないですね」
「そりゃ阿部君……今日は台風だから、本当なら休業した方が良いのに、店長が災害時ほど食料品や日用品が売れるから店を休むわけにはいかないって」
「あのザビエルヘッド……マジで糞みたいな店長だな。しかも本人が出勤するならまだしも、家が近いからって学生バイト2人に任せますか?」
「うーん、普通あり得ないよね……ここが直営店だったら速攻従業員相談窓口に連絡だよ」
「そうですよね! ……良かったぁ、俺の感性が普通で」
「感性というより……この場合常識じゃない?」
画面には俺とバイトの先輩である桜花さんが映し出されていた。
桜花さんの下の名前は桃奈。
深い茶色に染めた長い髪をポニーテールにしていて、俺よりも少し背が高い180センチのモデル体型の大学生。
王子様系女子って言われるタイプで同性からの人気も凄いが、俺とバイトのシフトが被ることが多く、バイト入りたての時は教育係として色々教わった。
本人は背が高いのは気にしてないのだが、胸が絶壁な事を気にしていて、俺に胸って20歳を超えても大きくなるのかなとか、揉んだら大きくなるって嘘だよねとか、男子高校生に言うには刺激の強い事を平気で言ってくる女性である。
ちなみに俺の名前は阿部夏樹。
なつきって呼び方だけだとちょっと女っぽい名前と感じることもあるが、ちょっと老け顔で映画館とかで学生料金で観ようとする時に学生証を見せると驚かれることがある。
中学生の頃から老け顔だったので、中学のあだ名は夏爺。
流石に高校になってからはそんなあだ名で呼ぶ奴は居なくなったが、入学式の時に保護者に間違われたエピソードや高校の先輩から新しい教師に間違えられたりしたこともあった。
そのためかコンビニバイトをしているが、店長やシフトの関係で女性従業員しか居ない時間帯に俺が入れられることがあり、店長曰く、老け顔でとても高校生とは思えないからクレームを付ける客が居ても舐められることはないだろう。
という返答に困る理由でシフトを組まれていた。
まぁ仲の良い桜花さんと気楽に勤務できるのでその点だけは感謝しているが……。
でも台風の日くらいは休みにしろよと思うが……。
外は轟々と強い雨が降り続いている。
「これ人入ってきたら水浸しになりそうっすね」
「そうだね……ちょっとモップ直ぐに使えるように用意しておくからレジ番少しお願い」
「了解です」
桜花さんが清掃用具がある場所に向かうと、入り口の自動ドアが開き、見覚えのある顔が入ってきた。
「夏兄、ちょっと買い物させて」
「こんにちは夏樹さん」
入ってきたのは俺の義理の妹の阿部実里、それと彼女の親友の冬木つららちゃんである。
「お前らどうしたこんな天気の日に」
「学校休校だったじゃん。だから家でつららと一緒に勉強していたんだけど、天気が予想以上に悪くなって、電車止まったからつららが帰れなくなってさ……で、家の両親も仕事場近くの川が増水して帰るの危ないから会社に泊まるって連絡が来て、冷蔵庫見たら何もなかったから、一番近くで、こんな天気でもやってるコンビニに来たってわけ」
「すみません夏樹さん……」
「そっか……冷蔵庫空だったか……とりあえず今外に再度出ると危ないからフードインで食べていけよ。支払いは俺がやるから」
「サンキュー夏兄」
「良いんですか?」
「お前らバイトしてないから金のやりくり厳しいだろ。兄としての見栄張らせてくれや。あ、でも普通の日にはやらないからな。今日は他にお客さんや店長居ないからやるけど」
「わかってるよ」
「ありがとうございます」
2人は弁当コーナーに移動すると、どれ食べようかと話し合っている。
そうこうしていると桜花さんが戻ってきて、モップで床の掃除を始める。
「桜花さんこんにちは!」
「あれ! 実里ちゃんじゃない。外こんな天気なのに来たの?」
「家に食料が無くって……」
「そっか……とりあえず台風のピークが過ぎるまではここに居な。今外に出ると危ないから。お友達の子も良いね?」
「「はーい」」
家から一番近いコンビニだし、俺がバイトの出来事を家族で食事している時によく喋るので、実里も桜花さんの事を知り、コンビニによく買い物をしに来ていたので、常連客として桜花さんから名前を覚えられていた。
「夏兄、これお願い」
「はいよー」
ピピっと弁当をスキャナーで通し、実里に電子決済ボタンを押してもらって、俺がスマホをかざす。
ピロンと決済完了の音が鳴って、電子レンジで温めを開始する。
「阿部君いけないんだー」
「ちょっとくらい見逃してください桜花さん……」
「まぁ今日は私しか居ないから黙っておくけど、普通の日にやるのはダメだからね」
「わかってます。ということだ。実里、今日だけな」
「わかった! わかった!」
そして電子レンジで待っている時間、沈黙が場を支配するが、俺がふとコンビニの外を見た瞬間に白い自家用車が物凄い勢いで突っ込んでくるのが見えた。俺は咄嗟に3人を弾き飛ばそうと動いたが、それよりも早く車がコンビニの自動ドアを突き破り、店内に居た俺達をスプラッター映画に出てくるような肉塊や壁のシミに変えた所でブラウン管テレビの映像は途切れた。
『本当に申し訳ない』
画面が切り替わり強面の男が真顔で申し訳ないとテレビ越しに謝ってくる。
「つまり……俺達は死んでしまった……ということか?」
『端的に言うとそういう事だ。そして本来死ぬべきでは無かった命だった』
「死ぬべきでは無かった?」
『映像に出てきた白い自家用車に乗っていたのは私とは別の神であり、嵐の中ドライブするのが趣味という変わった趣味を持っていてな……そいつがやらかしてお前達を殺してしまった。勿論その神には地獄で釜茹で地獄の火起こし番千年という刑罰を与えたが、いきなり殺されたお前達は納得しないだろう』
そりゃそうだと全員が頷く。
『本来であれば記憶を一切消した上で前世の徳に従って転生先を決めるのであるが、異世界への転生であれば記憶を継承し、ある程度の才能や能力を決めた上で転生することを許そうということに神々の間でなってな。考える時間や質疑応答に答えるからそれを元に転生をして欲しい。今は色々混乱していると思うから一度この場の全員で話し合う時間を設けよう』
そう言うとブラウン管テレビの画面が黒くなり、俺達だけが取り残される結果となるのだった。
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