第5話 午後の真実
図書館に来なくなってから、一ヶ月が経った。
誰からもメールは来なかった。彼も、私も。
その日、図書館の角の席に座ると、一通の手紙が置いてあった。
「藍子へ」
それは、確かに彼の字だった。
「君と別れることを選んだ。それが、君にとっても俺にとっても、正しい判断だと思った。
三年前、僕が君を傷つけたのに、こんなことをして申し訳ない。
でも、知ってほしい。君は本当に素敵な人だ。君の夢を応援したあの日の気持ちは、今も変わらない。
来年、俺は結婚する。その人は、いい人だ。でも、君の方が好きだった。その気持ちは、一生消えないと思う。
だからこそ、ここでちゃんと別れたい。
君は、もっと素敵な人と出会うべき。午後の陽だまりに包まれているような、温かい誰かと。
本当にありがとうございました。
そして、本当にごめんなさい。
―健司」
私は泣いた。午後の陽だまりの中で、ずっと泣いた。
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