第4話 秘密の時間
それからが間違いだった。
彼のメールは続いた。仕事の愚痴。親との関係。そして、時々。
「今、図書館の例の場所に来てる」
返信すると、数時間後に彼からのメール。
「よかった。近くだから行ってもいい?」
こうして、私たちは午後の陽だまりで再び会うようになった。
「これ、駄目なんだよな。わかってるけど」
彼はそう言いながら、毎回来た。
「わかってます」
私も毎回返した。
それでも止められなかった。彼の存在。彼の言葉。彼の優しさ。全部が、欲しかった。
「君の夢、達成できた?」
「編集者になりました。小さな出版社ですけど」
「良かった。君なら絶対になれるって思ってた」
三年前と同じ言葉。その言葉が、心を揺さぶった。
「先輩、やめましょう」
「え?」
「このままだと、二人とも破滅します」
彼は何も言わなかった。ただ、陽だまりに差し込む光が、彼の目を湿らせているのが見えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます