第19話「国王との初謁見」
正門の向こう側は活気には触れていた。
食べ物を買う主婦とそれに対応している商人。
子供たちが集まっている所には一人の帽子をかぶった大人の男が人形を使い、大声で劇をやっていた。
目に映るすべてが、初めてで俺の心を高揚させる。
周囲の建物は前世のように電気が通っているわけではない。
近代より劣る木と石の建物だが、返って中世文明を肌で感じられる。
アルフレット:「ラウロ、今から王城へ向かう。特にすることはないが、昔の戦友に挨拶ってところだ」
ラウロ:「分かりました。王城に剣は持ち込めませんよね?」
アルフレット:「いや、検査をして了承を得たら持ち込みは許される。まあ、中にいる騎士たちは
そのつもりはないが、警戒するに越したことはないよな。
ーーーーーーーーーーーー
アルフレット:「ウロ、、、ラロ、、、ラウロ‼」
誰かが俺の名前を呼んでいる。
脳がうまく働かない。
俺はいつの間にか寝ていたようだ。
ラウロ:「もう王城に着いたのですか?」
レリア:「ええ、坊ちゃま。王城の正門を超えた後は一度歩きます」
俺はその言葉に「わかりました」といい、乱れた服を着直し、腰から外した武器を握った。
初めての王城、期待が膨らむ。
身支度していると馬車は正門まで移動し、それを合図に誰かが歩いてくる。
鎧独自の軋みと足音を耳が捉えた。
近衛騎士A:「我は王城を守護する近衛騎士である。国王からの招待状を見せていただこう」
荷台の端から騎士が顔を出す。
さっきの騎士とは身に着けている鎧が違う。
外壁の騎士は皆が想像する何も塗装がされていない銀色の鎧だった。
だが、目の前の騎士の鎧は赤を基調とした色に、手入れがどこまでも行き届いている。
何より違うのが、身に纏っている雰囲気と魔力。
近衛騎士というのは嘘ではないようだ。
数日前に戦った野盗より強い。
シルバリル:「はい、こちらが国王からの招待状です。あと、こちらも」
近衛騎士の言葉に従い、先ほどと同じようにシルバリルが招待状と再び首に掛けていたネックレスを渡す。
数分かけて検査した近衛騎士は招待状とネックレスをシルバリルへ返し、ビシッと姿勢を直した。
腰に携えていた騎士剣を両手で胸に寄せ、少しだけお辞儀をした状態。
近衛騎士A:「これは長旅ご苦労様です。王も喜ぶことでしょう」
近衛騎士の許可を得ると同時に商人は馬車を動かし、王城の正門を通過した。
エミリオ:「ここからは歩いて行くわ。荷物は持ったわよね」
ラウロ:「はい、忘れ物とかはないので大丈夫です」
彼女の言葉通り、俺たちは荷台の端から降りて王城を歩く。
元騎士だったアルフレットたちのおかげで、迷うことなく国王がいる部屋まで移動できた。
道中はやたら金が使われた物が多い。
それを見るたび、感嘆な声しか出なかった。
扉の前まで移動すると、先ほどと同じ近衛騎士が二人いた。
男女どちらなのかわからないが、俺たちを見るなり体を触り荷物検査を始めた。
腰に携えた剣を見ると、近衛騎士たちは警戒を強めたが、アルフレットが説明して事なきを得た。
近衛騎士B:「よし、剣を持っているが彼らの素性は信用できる。問題ない」
近衛騎士C:「ご無礼なきよう」
荷物検査を終え、大扉が開かれる。
同時にゆっくりと歩き、国王がいる部屋に入った。
???:「久しぶりだな‼。アルフレット、エミリオ、シルバリル、レリアよ」
王室中に男の声が木霊する。
あまりに大きく、それでいて不快感を与えない声音。
声の主は階段の上にある椅子に座っていた。
その言葉を聞いたアルフレットたちは片膝をつき、首を垂れた。
俺も遅れて、見様見真似だが、同じ態勢になる。
???:「やあ、君がアルフレットとエミリオの子供であるラウロだな。こうして会うのは初めてだな」
名前を呼ばれた俺は、さらに首を垂れる。
ただ、内心ではよくわからない人だなと思ったが。
サラーム:「私はこの和平王国の国王”サラーム・ラウス・ノスフェラトゥ”だ」
ラウロ:「申し訳ありません。王への謁見、初めに礼を失する真似をしてしまいました」
それを聞いた俺は王室に入った際、首を垂れるのが遅れたことを謝った。
いくら知らなかったとはいえ、不敬は不敬だ。
言い訳はせず、素直に謝る。
サラーム:「いいよ、いいよ。そんなに畏まらないで。俺は王だけど、戦友の息子にそこまで畏まられると少し傷つく」
国王の言葉に俺は素直に従う。
サラーム:「アルたちも、気を楽にしてほしい。数年ぶりにあった戦友なんだ。雑談をしたい」
全員が首を垂れていた状態を治し、立ち上がる。
サラーム:「それで、ただの旅行で王都までくることはないだろう。何か頼りたいことでもあるのかな?」
アルフレット:「昔から察しは良いよな、ラウス」
指示に従いアルフレットがフランクに話したのを見て、サラーム王の機嫌が良くなった。
アルフレット:「率直に言う、俺たちを騎士団に再び入団させてほしい」
彼の言葉にサラーム王は首を傾げ
サラーム:「それは良いけど、そもそも、お前家とかあるの?。どうせ村にある家は売ったんだろ?」
アルフレット:「それは、何日か泊まれる宿を見つけて、お金が溜まったら家を買うつもりだ」
それを聞いたサラーム王がちょっと呆れた声で、「だよね~」といい微笑んだ。
サラーム:「ならさ、王城に住めよ。それで、お金が溜まったら、家を買うなりした方がいいだろ?」
どこまでも気さくに善意のこもった声で、そんな提案をしてきた。
アルフレット:「そんなのラウスに悪いだろ」
サラーム:「いいんだよ。こういう時に権利を使わないでいつ使うよ。あと、騎士団がアルたちが来ると知って宴を開いている」
その言葉に俺以外の家族の顔が目に見えて
何かあるのだろうか?。
話を聞いている限り、そんな悪いことはないと思うが。
サラーム:「お前たちの指南を受けられる、武勇を聞ける、共に仕事ができると。まあ、うん。最初は苦労すると思う」
ああ~、そう言うことか。
アルフレットたちは元騎士団、しかも、かなりの実力者。
そんな奴が騎士団に戻りますと言ったら、それはもう宴だ。
ここから数日は大変だろうな~。
そうこう考えていると話はまとまったようで
サラーム:「部屋と食事を用意するよ、あと使いたい施設などあれば言ってくれると助かる」
アルフレットが俺の背中を手で押す。
使いたい施設か~。
そもそも、王城に何があるのか分からないんだよな。
ここはありそうなことを言うか。
ラウロ:「もし宜しければ、図書室など使わせていただきたいです」
そう図書室。
今は知識が欲しい。
特に魔力の操作に関する知識。
現時点で剣と魔術は、ある程度上達している。
ここからは魔力の操作に重きを置きたい。
サラーム:「そうか、そうか。アル、エミリオ、お前たちの子供は頭がいいな」
エミリオ:「当たり前です。ラウロはこの年でもう英雄級になれる実力を有しています」
彼女の言葉を聞いたサラーム王が「マジか‼」と大声で驚いた。
アルフレット:「大マジ。一度、実践稽古をしたら危うく死にかけた」
その言葉を聞いたサラーム王がニヤニヤする。
え、なに。
王様のそういう顔って、何かの暗躍を考えてそうで怖いんだけど。
使用人A:「サラーム陛下、客人のお部屋の支度が整いました」
サラーム:「ありがとう。いつも助かっているよ。後の会話は食事のときにしよう」
アルフレット:「ああ、久しぶりの戦友に会ったんだ。色々、話したい」
会話を閉めた、俺たちは使用人の指示に従い王室を後にする。
使用人A :「ここがラウロ様のお部屋となります」
家族と歩きながら話していると、あっという間に俺が止まる部屋に着いた。
使用人が扉を開けてくれ、俺は部屋に入る。
最後にアルフレットたちに「お休み」と言われ、それに挨拶を返した。
部屋は一言で言うと広かった。
畳で換算すると7~8くらいだろうか。
前世で俺が住んでいた部屋の1.5倍は広い。
あらかた部屋の広さを楽しんだ後、ベッドの隣に腰に携えていた武器を置く。
上の服も脱ぎ、薄着の状態でベッドに飛び込むんだ。
これから、いろんな強者に合うだろう。
時には戦友になり、時には強敵になる。
停滞は許されない。
そう、心に再度誓い、俺は目を閉じた。
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