第1話 まあどうしようもないね

彼女は夢を見る。その意識は暗い空間を揺蕩っている。

魂に刻み込まれた記憶を反芻する。



炸裂音が聞こえ、意識が覚醒する。夢の中とは違う不愉快な匂いが鼻腔に流れ込んでくる。血と硝煙の匂いだ。またか。

彼女は深くため息を吐く。

彼女はベッドを出る。

彼女は扉を開ける。

目の前には、法が意味をなさない世界がが広がる。


その風景は何一つ偽りなくこの世界を表す。


この世界には平和は無く。

この世界には平等は無く。

この世界には慈愛は無く。


多少の違いさえあれど、この世界は弱肉強食。

強い者が生き残り、弱者は陰に潜んで脅威が去るのを待つしか無い。

そんな世界だった。


クソッタレ!


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