第11話 山歩き
山歩きが好きなんです。
……登山、というほどではないと自分では思っています。
日帰りで歩けそうなところをネットで探して、ひとりで黙々と歩くんです。
もちろん風景や野鳥なんかも楽しみますが。
基本的に、無になって歩くのが好きなんです。
恋人が一緒に行きたがるんですけどね。
「誰かと一緒」とか、「おしゃべりしながら」とかは苦手で……。
そもそもそういうのから逃れるために山に来てるわけですし。
で、この前の話なんですけど。
いつものように山歩きをしていたら、ずっとこう……視線というか、気配を感じるんですよね。
誰かがついてきている、というか。
もちろん最初は山岳警備隊かな、と思いました。
女性の一人歩きとか、高齢者なんかが歩いているとそっと見守ってくれると聞いたことありますし。そういった人たちは、登山の格好をして、決して邪魔はしないとも聞きますから。
だけど。
……なんか、変なんですよね。そういった見守り的な感じじゃなくて。
執着されてる感じで……。
山って、幽霊話も多いですし。
そんなのかな、と。
だから。
無心に歩いている風を崩さず、耳を澄ましてみたんです。
そしたら。
りりりりりって。
鈴の音がかすかに聞こえて。
気づいたんですよ。この特徴的な音。
それ、私が恋人にあげたお守りについている音なんです。
私はそのまま山を下りて家に帰りました。
次の日、恋人と会ったんですが、彼は、
「昨日、一人でリフレッシュできた?」
って言うんですよね。
しらじらしい。
ええ、もちろん別れるつもりです。
だってストーカーじゃないですか、こんなの。
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