第3話 捜査の進展(3日目)

 中谷が起きたのは朝の2時だった。1番早いJRの時間は5時34分なのでそれまではコンビニに行ってカップラーメンを買ってホテルで食べて時間をつぶしていた。


 宍粟市に着くととても空気が綺麗だった。これが仕事ではなかったなら、ゆっくりと観光でもできたのに仕事のせいで外の綺麗な山々などをゆっくり見ることができず、ほとんど見ておくのはスマホだった。


 有村のアパートは緑豊かな場所にあった。玄関のインターホンを押すとすぐに入れてもらえることができた。有村は意外と優しい人だった。部屋に畳が敷かれた和室があり、小さめの机で話を聞くことができた。


 まず中谷は以前の事件について質問した。

「まず、事件が起きた時間に何をしていたかをおしえてください。」


「その時間は…、確かずっと家にいました。あ、これってアリバイがないってやつですか?困ったな。」


「そういうことになりますね。何か証明できるものはありますか?」


「宅配便が来ました。でも、置き配にしてもらったので声だけですけど…」

 

 中谷はその後も数個の質問をして倉敷に帰った。

 中谷が倉敷に帰ってきた時は、まだ13時くらいだったので東広島に住んでる加藤泰樹にも話を聞きに行くことにした。倉敷から東広島までは、大体1時間くらいなので、昼食もまだ取っていないので、着くのは大体15時くらいになると先に電話をしてから行くことにした。


 中谷が加藤に電話をした時、少し声が震えていることが気になったが、過度に震えているわけでもなく、話が噛み合わないというわけではないので特に重く受け止めなかった。


 加藤は東広島駅の近くに住んでおり、駅から出て10分くらいの住宅街の中の一軒家に住んでいた。周りには似たような家がたくさんあり見つけるのに少し時間がかかった。


 インターホンを押すと、少し時間がかかってから出てきた。中は、汚いわけではなくそんなにものがなかった。強いていうなら、戦国武将の甲冑の小さい模型や飾るためだけの刀など戦国時代に関係するものがたくさんあった。


 中谷は、少し高いテーブルで加藤から話を聞いた。

「部屋に戦国関連のものがたくさんありますが、誰がお好きなんですか?」


「私は、島津義弘ですね。それが何か?」


「聞いて見ただけです。話が変わるのですが、⬜︎日の○時△分にどこで何をしていましたか?」


「その日に何かあったんですか?確かその日は…、家で信長の○望をしていました。」


「⬜︎日に何があったかは、捜査上秘密にさせていただきます。何か証明できるものはありますか?」


「ちょうど昨日パソコンを変えたばかりなので、履歴はないです。」


「ありがとうございます。また、お伺いさせていただくと思います。」

 

 中谷が、倉敷署に帰ったのは19時くらいだった。中谷は新幹線の中でさまざまなことを考えており、すでに1つの仮説に辿り着いていた。

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