隠れて秘め事
熱い吐息を零すように、顔を上気させて俺を見下ろす綾香。
潤んだ瞳に見つめられ動くことが出来ず、ましてや言葉も発することが出来なかった……いや違うな。
それ以上の衝撃が俺の手の平に伝わっているからだ。
「……………」
「……………」
制服のシャツの上から触れている綾香の胸。
前に触った時にはその弾力に驚かされたものの、ちゃんと下着に包まれている感覚があった……弾力の中に布の固さがあったんだ。
だが今、触れている弾力には一切固さがない……しかもちょうど手の平の中心にぷくっと膨れている物が当たっている。
「……また、触られちゃったね?」
「……なんで――」
「ブラジャーしてないのかって?」
「っ……」
「どうして……だと思う?」
え、どうして……ってそんなの俺が分かるわけないだろ!?
文句を口にするかのように、そう言ってやろうと思ったが屋上に上がってくる音が聞こえた。
微かに聞こえる音だったが間違いではなかったようで、俺はすぐに綾香を連れて陰の方へと隠れた。
「誰か来たの?」
「……あぁ」
俺たちが隠れた場所は、入口の裏手……しかもパイプやらが入り組んだ場所で隠れるには最適なのと、こっちからは向こうが見やすいが向こうからはこっちが見えづらい場所だ。
「……あれ、慎?」
そこにやってきたのは徳井と、その友人である東条だった。
なんでここに……それが気になった俺は、綾香と引っ付いた状態で彼らの会話に耳を傾けた。
「……ってなんでまだ引っ付いてんの?」
「え? 天斗君がここに引きずり込んだんでしょ?」
「……そりゃそうか」
と、とにかくなんであいつらはここに来たのかそれを聞こう!
耳を澄ませると彼らの会話が事細かに聞こえてきた。
「それで、なんで屋上に来たんだよ」
「……教室に綾香が居なかったから」
「は? 音無を探してここまで? 珍しいじゃん、今までこんなんなかっただろ」
「……………」
なんだ……綾香を探していたのか。
何か急用があって探しているのかって思ったけど、あの様子を見るにそんなこと単純なことではなさそうだ。
「……最近、綾香がおかしくなった気がするんだ」
「おかしくなった?」
「……よく笑うようになったというか、明るくなったというか」
「何言ってんだ? それって悪いことじゃなくていいことじゃんか」
「……その理由が分からないからモヤモヤするんだよ」
「お前さぁ、それ完全に音無のこと気になりまくってんじゃんよ」
話の内容は、完全に綾香に関するものだった。
俺はつい胸元の綾香に目を向けたが……彼女は俺を見ておらず、向こう側の二人をジッと見つめていた。
ただそんな彼女は笑っておらず無表情で、感情を削ぎ落したかのような様子だった。
「お、幼馴染なんだから気になるだろ! ずっと一緒で……綾香と仲良かったのは俺だけだったんだ……最近はあまり話すことも少ないけど、それでも幼馴染として俺は見守って……」
「……お前、面倒くさい奴だなぁ……そこまで言うのって好きとかそういう感じだからだろ」
「だから違うって!」
「あ~はいはい。まあそれを認めなくてもいいけど、そんなだとマジで音無の奴誰かに取られるんじゃね?」
「……綾香は地味な子だし、誰が綾香を――」
地味……ね。
俺も最初は綾香を地味子だと思うことはあったけど、綾香と仲良くなってからは全くもってそうは思わなくなった。
むしろその逆で綾香のことは凄く可愛いとか美人だとか……つい最近のあれやこれやでエロいとか、そういう風に思うようになったんだよな。
「ねえ、あれ気になる?」
「え?」
「私はどうでもいい……だからあっちはもう放っておこう?」
綾香はそう言い、あちらから視線を外した。
徳井と東条はまだ綾香について話をしているみたいだが、綾香の雰囲気に圧されてしまい俺もあちらのことを気にかける余裕がなくなった。
「座って」
「……あぁ」
言われた通りにその場に腰を下ろすと、胡坐を掻いた俺の足の上に綾香がすっぽりと収まった。
しかも足を俺の腰に回すような格好なので、思いっきりスカートを広げるような下品な格好……けれど綾香は一切気にした様子もなく、徳井に気付かれないよう声を潜める俺へと体を押し付けた。
「私、沢山天斗君に助けられてる……天斗君は全然気にしてないし、勉強を教えられていることをお礼みたいに思ってるけど、別の形でお礼を返したいな」
「別の形……?」
「おっぱい、もっとじっくり触ってみたくない?」
ニコッと微笑んで……いや、舌なめずりとかしなかったか!?
いや……綾香に限ってそんな表情をするわけがないと思いつつも、唖然としてしまったせいで上手く言葉を口に出来なかった。
「えへへ……天斗君は何を言ってんだよって涼しく断らないもんね。断るにしても恥ずかしがっちゃって言葉が上手く紡げないよね」
「……いや誰だってそうなるって」
「そこがいいんだよ……そこがね。天斗君の立派な肉体……でも中身は凄く優しくて、寄り添いたくなるところが素敵」
優しいとか、寄り添いたくなるとか……今はどうでもいい。
こんな風に女子に迫られること自体が今までになかったけど、そもそも俺みたいな奴がこんな状況に慣れるわけがない……だからいつまで経ってもきっと、俺はこんなデカい図体に反して慌てまくるんだろう。
「ずっとノーブラだったわけじゃないよ? このお礼のことを考えて脱いで来たの……制服の下にシャツも着てるからそもそもバレないよ?」
「そ、そうなんだ……」
「うん――だからお礼にどうぞ触って?」
ぷるんと胸を揺らし、堂々と彼女は胸を張った。
目の前に広がる大きな膨らみ……白い制服シャツの上からも形がこれでもかと分かってしまう……それにブラをしていないからこその小さな膨らみも若干見えていた。
「女の子のおっぱいがどんなのか、興味あるんでしょ? 天斗君だって一人の男の子だもんね? だからそれを私で試してみない? これはただのお礼……そう、お礼なんだから遠慮せずにね?」
「……………」
こんなこと、間違ってるはずだ。
それなのに綾香の膨らみから視線を逸らせず、触りたいと思ってしまうのは単純な好奇心のせい……両手で触れようとした寸でで止め、綾香を見たが彼女はどうぞと言わんばかりに頷くだけだ。
「……本当にいいのか?」
「いいよ」
「……その……ダメだとは分かってるんだけど、好奇心には逆らえないというか、興味には抗えないというか」
「ふふっ、どうぞ」
これはね、仕方ないんだよ。
俺はゆっくりと手を伸ばし……綾香の胸に当て、そしてゆっくりと強弱を付けながら揉んでみた。
「どう?」
「……やっぱり柔らかいんだな」
「弾力とか、感度も正直自信あるよ」
「か、感度!?」
「あんっ♡」
感度という言葉に反応し、思わず力が入ってしまった。
しかも甲高い綾香の声が響いた結果。
「な、なんか声しなかったか?」
「そうか? 特に何も聞こえなかったぞ?」
ドキッと、心臓が止まりかけた。
だが幸いにも徳井たちはこっちに来ることはなく、それからもずっと綾香に関しての話題を続けていた。
「……慎がどんなことを思っても、どうでもいいの……私は今、こうしていることの方が好き……もっと強く触ってほしい」
俺は……これは一体なんだ?
徳井が……あいつが幼馴染である綾香のことを話している中、俺は隠れてその彼女の胸を揉んで……しかも綾香は嬉しそうに笑ってて……凄くエロい目をしていて……。
結局、俺はそれからも綾香の胸を揉み続けた。
気付いた頃には徳井と東条は屋上から居なくなっていたが……そんなことももはやどうでも良かった。
「えへへ、満足出来たかな?」
「……あぁ」
「いつでもいいよ? 天斗君が触りたいと思ったらいつでも触っていいからね? 天斗君がしたいこと……女の子でしたいことは全部、私を使ってもいいんだからね?」
「っ……」
「絶対……絶対だからね?」
耳に残る言葉……それはしばらく、俺の中で木霊し続けた。
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