バレーにポ〇リは最強説
今日はこの俺、有村翔は暇だったので、絹川の部活動の試合を見に来ている。ぶっちゃけバレーのことはよく分からんが(作者の俺ですらも)、絹川の部活での様子は知らないなって思って今日にいたるってわけだ。それにしても前に勉強を教えてあげた志保さんの力がなければ、俺はもちろんこの会場に着くこともなかったという訳だ。
会場内はそれぞれの高校を応援する声援が響いていた。
これだけでも圧倒されてしまうのだが、選手たちはさらにプレッシャーのかかる中でプレーをすると思う。だから部活動とはいえ試合に出れて、それで尚且つ的確に指示を出せている選手とかは本当に尊敬している。
「行くよー!」
「「「おぉー!」」」
そして途中まで見ていると、絹川の姿が見えた。
どうやら途中からの出場という訳なのだろうけども、絹川の身長を生かしたプレーで桜ケ丘学園女子バレー部は勝利を遂げた。
俺は試合が終わっても会場にいた。
するとどうやらミーティング等が終わった絹川が俺を見てすぐさま駆け寄ってきた。
「あ、せんぱ~い!きてたんですね~!」
「まぁな、暇だったから来てみた」
「せんぱい…私服似合ってますね」
「だろ?やっぱりユ〇クロは品揃えが良くて神だぜ」
「見てましたか?私のプレー!」
「見てた見てた、ナイスプレーだ。欲しいジュースあるか?買ってやるよ」
「いいんですか?じゃあ遠慮なく!」
こうして元気に過ごしているところを見ると、低身長いじりをしてくる絹川は何だか想像できない。
という訳で、俺は絹川にポ〇リスウェット一本を奢ることにした。試合中でも活躍してたしな。
「ありがとうございま~す」
「お疲れさん」
「それにしても…どうしてせんぱいはこの会場で試合するってことを知ってたんですか?」
「それはだな…」
「…もしかして志保から知ったとか」
「よく分かったな」
「せんぱいって分かりやすいですからね~」
だからエスパーかよ。
なんて思っていると、相手校の女子バレー部が俺らの近くで話し始めていた。その女子バレー部の連中の中で…一人の見覚えのあるやつを見つけ出してしまった。
そいつは俺の事を見つけると、プイっと目をそらしてそそくさと逃げてしまった。
「…知り合いでもいたんですか?」
「あぁ…同じ中学の知り合いがいたよ」
…あの反応を見る限り、そいつはまだ、”あの事件”のことを覚えているようだった。
だが…いや、いずれは向き合うことになるのかもしれない。だが今日は…まだこのタイミングではないのかもしれない。変に思い出してしまったのならば…あの時のトラウマをぶり返してしまうだけなのだろうから…。
「知り合いですか~…いいな~、もしかしたら今日の相手校にもいたかもしれなかったな~」
「…絹川ってどこ中学校出身だ?」
「え?
「いや、隣の中学から来てんだなって思っただけだ」
池位東…もしかしたら知っているところもあるかもしれないが…恐らく絹川自身は知らないのだろう。いや、知らなくても良い出来事なのだから…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます