終末世界の後の神話……かもしれません。
もうすでに終わった世界。
モノたちだけの会話が始まります。
そのイメージがなんとも楽しげでした。
でもただのイメージの羅列ではありません。
伝承に起因する筋立てもあります。
日本の神話において食物の女神オオゲツヒメの死体が五穀の起源となったように、本作でも炊飯器が一度壊れたことを契機として、ご飯を現出させています。
本作は、なにかの寓話だったのかもしれません。
でも定かにはわかりません。
解釈できる方は解釈を楽しめるかと思います。
魂を宿した付喪神のような椅子やサボテン、炊飯器や、トースターよるポストアポカリプスストーリー。
どうやら人間は、炊飯器の出すご飯のお世話になっているようです。
意味もわからず読み進めてしまいます。
でもそれでいいと思います。
ここではない何処かへ連れて行く。
それこそが小説の本質だからです。
皆様も一度。
奇妙に楽しい終末世界へ案内されてみませんか。
文明が崩壊した世界で、椅子とサボテン、そして家電たちが語り出す……想像するとあまりにも可愛らしい場面が展開する本作。
しかしながら、その内容はとてつもなく深く、そして慈愛に満ちたものでした。
特に「交代」するという時間概念には、すごく胸打たれます!
本作を拝読しながら、道具として生まれた彼らをただなんとなく使うのではなく、道具として存在することで、私たち人間に生きる糧を与えてくれていることを、改めて気付かされました!
日本人としての(アニミズム信仰的な)アイデンティティを刺激されたのかはさておき、物としての彼らに感謝の気持ちを抱きつつ、今後も大事に使わなくては……そんな優しい思いを抱かせていただきました!
素晴らしい物語です!
是非ともご一読を!!!