〈10〉『おはようございます』

『おはようございます』


「おはようございます」

『ここに、いましたか』

「此処に、いました」

『オナカ、大丈夫ですか?』

「ええ、まあ、なんとか」


ニョマンがボクを探して、テラスまでやって来ました


『おいしいですか、マンゴスチン』

「おかげさまで」


昨夜、ニョマンと行った食堂は、クタの警察署の横っちょの

脇道を入った所にあった、地元の人しか行かないようなお店でした


「コレは、何ですか?」

と、ボクが聞くと

⦅コレは、スナンです⦆

と、お店の人は教えてくれました

「コレは?」

⦅これは、ピピン⦆


そこは、音からその味を想像するのが難しそうな料理ばかりが並んでいる食堂でした

そして、心なしかその場で交わされている言葉もインドネシア語より、バリ語に

偏った感じで、居心地と言うかアウェイ感と言うか、その場に居る自分が

透明になっていく、そんな感覚を覚えてしまうルアン・マカンなのでした

しかしそれは、バリ島に来てから初めて味わう、外国にいる

みたいな疎外感で、ボクには存外、楽しいのでした


そして、そのお店で勧められるがまま、ボクは

食べ進めたのですが、思っていたよりどれも美味しく

箸が止まらなくなってしまったのでした、正確には、箸は

ありませんでしたので、手が止まらなくなってしまったのでした


しかしその中に、どうにも分からない料理がひとつあって

料理というか薬味というか、白くて丸いそれは

カマンベールチーズみたいにお皿の端に

チョコンと、載っていたのでした


「コレは?」と、聞くと

⦅ソレは、ナニナニです⦆

と、言われましたが“ナニナニ”のところは

バリ語でしたので、まあ、いいかと聞き流し、ボクは

その、白くてプニュプニュした、つきたての餅みたいに

柔らかなソレを摘まみあげ、パクっと口に放り込んだのでした


⦅ウワァー⦆


みたいなことを、その場にいた皆さんに言われ


『ダメですよ』


と、ニョマンにも止められましたが、時すでに遅シ

ひと嚙みの、のちに“ソレ”はツルリとボクの

食道を通り過ぎ、胃に到着した後

内臓を沸騰させてしまったのでした


後はもう、水を飲んでもダメ

甘いモノもダメ、オレンジは少し和らぐ

なんとか、白飯を口に含んでいる間だけ落ち着いた

感じにはなるのですが、それでは舌が縺れて会話もままならず

初めて辛さで耳が痛くなるという経験を、ボクはするに至ったのでした


『ブタのカンゾウ』


みたいな事をニョマンは言うのですが、ソレが何故にボクをこんなに

沸騰させるのか、については笑い過ぎてもう、何を

言っているのか分からないのでした


もしかして、日本のお寿司屋さんで

“握り”と間違えて“ワサビ”を丸ごと食べてしまった

外国人観光客みたいな事をボクは、しでかしてしまったのでしょうか?


それ以降は、もう、身体が何も受け付けず、部屋に帰ってからは

“バリ・ビリー”を再発させ、早朝から“フルーツ泥棒”に

勤しむ結果となってしまったのでした


『マエも、よく食べていましたね』

「前もよく?」

『まいにち、マンゴスチンばかり』


そうです、最初の一週間

ボクはマンゴスチンばかり食べていました

それは“バリ・ビリー”にマンゴスチンが優しかったからです

そして、そのフルーツをテラスのバスケットに配って

いたのは、ニョマンだったのでした


『マンゴスチン、好きなのですね』

「はい、よく効くよね」

『よくキク?』

「バリ・ビリーに」

『そうですか』

「その為のフルーツバスケットでしょう?」

『そう、かもしれません』


今日も朝から優しい、ニョマンです


『きのう、おミセでオシエテもらったのですが』

「はい」

『クタにワタシのオジサンがいるそうです』

「クタに?」

『はい』

「クタにニョマンのオジサンがいるの?」

『はい』

「それは朗報ですね、クタの何処に?」

『ドコと言うか、ナント言うか』

「何と言うか?」

ニョマンに、いつもの覇気がありません

『いるならどうして、ワタシに会いに来てくれなかったのでしょう』

なるほど、そう言うことですか


「お店の人は何と?」

『なんと?』

「おじさんもニョマンがクタに居るとことを知らなかったのかもね、とか」

『そうは、言っていませんでした』

「そうかも知れないじゃないですか」

『そうでしょうか』

「だって、ニョマンもオジサンがクタに居ることを知らなかったのでしょう?」

『そうですけど』

「サマサマだよ」

『サマサマですか』


“サマサマ”は、“同じく”とか“まあまあ”みたいなインドネシア語です


「会いに行かないの?」

『どうしようかと』

「ひとりで行ける?」

『行けるでしょうか』

「わかりました」


少し、迷いました

カトキチ号を使わないのなら

ボクが一緒に行く必要があるのか、と

けど、最後まで手伝うと言ったのはボクです

ニョマンが望むならボクは何処までもついて行きましょう


「あの」

『はい』

「何時から気づいていましたか?」

『いつから?』

「フルーツ泥棒に」

『ワリと早い、ダンカイからです』

「そうですか」

『まいにち、クバッテいますから』

「そうですよね」


ニョマンが、鼻にシワを寄せました


「では、ランチの後に出発と言う事で」

『はい、もう、おナカはヘイキですか?』

「ええ、まあ、何とか」


カフェで軽めのランチを取った後

カトキチお勧めのクッキーの缶をお土産に

ボクとニョマンは“オジサン探しの旅”に出ました


途中に寄った食堂のオバサンの話によると、ニョマンのオジサンは

代々の家業である塩造りをしながら、クタ・ビーチの何処かに住んでいるとの事でした


⦅コテージからなら、そのままビーチを南下していけばいいよ⦆

「そのままナンカですか?」

⦅その内、会えるから⦆

「そうですか」

⦅サマサマ⦆


ザックリした食堂のオバサンの案内でしたが、ボクらはそのままオバサンの言葉通り

クタ・ビーチを南下して行きました、まだ幼かった頃、ニョマンはそのオジサンに

合った事があるらしいのですが、昨夜、食堂のオバサンに教えてもらう

までは、思い出せずにいたのでした、食堂のオバサンはニョマンの

オジサンの奥さんの友達で、その縁でニョマンは小さい頃から

何かにつけあのお店のお世話になっていたそうです


『トゥリマカシィ・バニャック』

ニョマンが改めて今までのお礼を言うと

⦅サマサマ⦆と、オバサンは言いました


これからこのオバサンのことを“サマサマ・オバサン”と呼びましょう


⦅あの家にもいろいろあったからね⦆

『いろいろって?』

⦅サマサマ、二人にも随分合っていないから、よろしく言っておいてネ⦆

ニョマンは“サマサマ・オバサン”からの伝言を預かりました


オバサンの食堂から炎天下の海岸線をボクらは南下して行きました“砂浜とヤシの木”が

目印と言われましたが、クタを南下する海岸線にはずっと“砂浜とヤシの木”が

続いているのでした、ボクがスニーカーで来た事を後悔し始めた頃

ホテルの駐車場とプライベートビーチの先に

何やら動く人影を発見!


なにとぞ、オジサンの情報が

得られますようにと、祈る想いで声を掛けると

その人はこちらに向かって歩いて来て、ニョマンと言葉を交わし

その肩に手を置くと、優しく彼女を抱きしめたのでした、そこからはバリ語

でしたので、ボクにはやはり、何を言っているのかチンプンカンプンでした、が

⦅日のあるうちに塩田に海水を撒いておきたいのだけれど⦆

と、オジサンが言っていますと、ニョマンがボクに翻訳してくれました

『ワタシは先にオバサンに会いに行きますので』

「ますので?」

『ここを、おネガイしていいですか?』

「何を、お願い?」

『オジサンのオテツダイです』

「ちょっと、その前に」

『はい』

「あの人は誰ですか?」

『オジサンです』

「エッ、探していた?」

『はい』

「エエ~、そうなの、良かったね」

『はい、サマサマ・オバサンの言っていたトオリでしたね』

「何が?」

『じゃあ、おネガイします』

「何を?」

『では』


って、低めで張りのある声を残し、ニョマンは去って行きました


あとには

バリの塩田に

赤道直下の日差しと

初対面のオジサン、そして

人見知りのボクが残されたのでした


“揚げ浜式塩田”

“潮汲み三年、撒き一生”

と、言われるこの現場に於いて

今のボクに何が出来ると言うのでしょう?


それから、日のある内はオジサンとボクで交互に

桶に汲んだ海水を“浜”に撒きました、オジサンは天秤で

一度に二杯、ボクは抱えて一杯、サボっているように見えるかも

知れませんが、出来る得る限りはやらせて頂きました、オジサンは頭の良い人と

いうのでしょうか、丁寧なインドネシア語で分かり易くゆっくり、ボクに語り掛けて

くれるのでした“バリ・ヒンドゥ”の世界、内戦の混乱、バリ島のこれからの

展望、いつまでも話が尽きる事はありませんでした


日が落ち、一日の汗を

波打ち際で流していると

⦅ウチに寄りませんか?⦆

と、オジサンが言ってくれました

「いいんですか?」


ホテルやコテージではない

バリ島の“ふつうの家”を一度は

訪ねてみたいと思っていたボクにとって

⦅どうぞ、いらしてください⦆の

オジサンの言葉は、とても甘く響いたのでした


オジサンの家は、砂浜を歩いてすぐの椰子の林にありました

隆々とそびえ立った椰子の幹を四隅に配し、屋根と壁を

青竹で葺いて、床も竹組みの高床式、更にそこへ

干し草をクッションとして敷き詰め、風通しと

涼しさの両立を図った、ボクの想像の

遥か先にある“お宅”なのでした


太い竹が組まれた階段を上がって

家に入ろうとしていたところで、すれ違った

女の人が(くつろいでくださいね)とボクに

声を掛けてくれました、初めて会ったオジサンの奥さんは

突然やって来た見ず知らずの外国人のボクにも、親切なのでした


ご飯が出来るのを待っている間に、オジサンがボクに家族を紹介してくれました


⦅さっきのが家内で、ここに居るのが順番にワヤン・ラギ

マデ・ラギ、ニョマン・ラギ、カトゥウ・ラギです⦆


オジサンは順番に子供たちの頭を撫でて教えてくれました


「こんばんは皆さん」

(こんばんは)

「六人家族ですか?」

⦅ええ、上の四人は家を出ましたので、今はこれともう一人⦆

「ワヤンさんも家を出たのですか?」

⦅はい、あなたは言葉が出来るだけで無くバリの文化にも詳しいのですね⦆

「いえいえ、たまたま友達に教えてもらったばかりなので」

⦅私は自分の代で塩造りを終わっても良いと、思っています⦆

「重労働ですものね」

⦅今日は、お手伝い頂いて助かりました⦆

「いえいえ、何の役にも立ちませんでした」

⦅私にはまたと無い経験でしたが、アナタはお疲れになった事でしょう⦆

はい


そこへ、奥さんとニョマンが御馳走を運んで来てくれました、床に敷いた

バナナの葉の上に、炊きたてのご飯とキャベツを炒めたようなオカズ

白菜を酸っぱくしたようなオカズと、魚を揚げたようなオカズ

そして、あと何かを煮込んだようなオカズが

湯気と共に盛り付けられたのでした


(召し上がれ)


と、奥さんは言ってくれますが

床に置くと料理はどの明かりからも遠くなり

どの料理がどれくらい辛いのか、見分ける事が

出来なくなってしまったのでした、更に、最初にお客さんが

料理に手をつけないと食事が始まらないルールとかがあるみたいで

みなさん、ボクがどの料理に手を付けるのかを、じっと見守っているのでした

ニョマンに目配せしましたが、上手く目を合わせる事が出来ず

ボクにどんどん、決断の時が迫って来るのでした


(どうぞ)

「い、いただきます」


ボクは恐る恐る、白菜を酸っぱくしたような

オカズがあった辺りに指を伸ばし、バナナの葉の

上に山と盛られたご飯に絡め、少しだけ口に運びました


(お口に合いますでしょうか?)


それを見ていた奥さんから、間髪を入れず声が掛かりました

「美味しいです」

セーフ!酸っぱくて爽やか、レモングラスの風味です

(それは、良かったです)

「みなさんも、どうぞ」

⦅スラマ・マカン⦆

「いただきまあ~ス」


みんなも食べ始めました

これくらいの辛さなら、ボクもなんとか

食べ進める事が出来そうです、続いてキャベツを

炒めたようなオカズがあった辺りに指をのばし、混ぜたご飯と

一緒に口に運びました、セーフ!コレはご飯の進む辛さです


「美味しいです」

(沢山ありますから)

奥さんも喜んでくれています


そして遂に、魚を揚げたようなオカズと何かを煮込んだようなオカズの登場です

ボクはそれらがあった辺りに指を伸ばし、ご飯に混ぜ

そのひと摘みを口に運びました


「ヒーィ」“

(どうしました?)

「美味しいですね~」


久々に、辛さで耳が痛くなる瞬間がやって来ました

“ブタノカンゾウ”の呪いが今、再び、ここに降臨

されど、どの料理も心を込めたおもてなしでしたし

久し振りに体を動かした後でもありましたので

最後まで美味しく頂く事が出来たました


食事の後、ニョマンとこちらのニョマン君は

同い年であることが分かりました、家を出た彼は今、サヌールの

ホテルで働いているそうです、ワヤンさんもマデ君もカトゥさんもそれぞれに

仕事を見つけ、今は家を出ているようです、バリ島の観光化に伴い生まれた新しい職種に

既存のカーストが上手く対応していないようで、それを時代の流れと受け止めたオジサンは

ファミリービジネスを自分の代で終わらせて止むなし、と判断したようでした


⦅今は“マデ”と名乗れば、誰でもどんな仕事にでも就けますから⦆

と、オジサンが言いました、なるほど!

「それで、ボクの周りには“マデ”ばかりなのですね」

⦅そうなのですか⦆

「そうなのですよ、なんだ、納得できました」

⦅アナタは楽しい人だ⦆

「とんでもありません」


その時、何処からか赤ちゃんの声がして、奥さんが席を立ちました


「ニョマン、あの声って、もしかして」

『はい?』

「ワヤン・ラギ・ラギ?」

『はい、そうです』

「ヤッター!」

『ヤッター?』


ボクが喜んで、家族のみなさんも笑顔になったのは

“ワヤン・ラギ・ラギ”はやはりこちらでも、お目出度いのでしょう


⦅我が家は子沢山で、ニョマンには寂しい思いをさせました⦆

オジサンが謝るような事を言いました

⦅でも、もう大丈夫だから、これからは何時でも来ておくれ⦆

ニョマンが頷きました


自分の代までは守ろうとした“バリ・ヒンドゥ”の教義では、結果的に

孤児になってしまった自分の姪を救うことは出来ませんでした

そんなオジサンの葛藤を知る事が出来て、ニョマンの

気持ちも晴れたのではないでしょうか


⦅今夜は泊まって行って下さい⦆

「いえいえ、そこまでは」


思っていませんでしたが、ニョマンは泊まっていけばいいのにくらいには

思っていましたので、ニョマンには「そう、させて貰えば?」と、言いました

しかし、何故か、ここの子供たちがボクを離してくれなくて

(泊まって、泊まって)と、言ってくれましたので

「いや~」と、躊躇って見せたものの、結局


⦅あなたは、我が家が迎える初めての外国からの旅人です⦆


なんて言う、オジサンの言葉に煽てられ

「それでは、お言葉に甘えて」

と言う事に、なってしまったのでした


今夜ボクは、バリ島の“塩造り”のお家にお泊まりします


確かな時間は分かりませんでしたが

食事が終わった後でも、まだそんなに遅くなさそうな

時間でしたので、ボクはニョマンを置いて、子供たちと散歩に

出かけました、ワヤン・ラギ、マデ・ラギ、ニョマン・ラギ、カトゥ・ラギの四人は

夜目が効くというのでしょうか、彼らが簡単に歩く道にボクだけ躓きます

手を引いて貰って歩きましたが、余計に躓いてもっと笑われました

真っ暗な砂浜なんて、歩き辛いったらありゃしない


しばらく進むと、遠くに明かりが見えて来ました

あれは恐らく、昼間通り過ぎたホテルの明かりと思われます

ロビーにあった売店で遠慮する子供たちに無理矢理買い物をさせ

ついでにお父さんとお母さんへも、それぞれにお土産を選ばせました、こんな

事はしてはいけないと思いつつも、兄弟たちの笑顔の前に、ただ

ひたすらバカなお兄さんへと、脂下がっておりました


日本人観光客のために、でしょうか?

“花火”が置いてありました


“花火”を知らないと言う

みんなのためにバケツとライターとロウソクを

買い求め、意気揚々と手を繋いで帰路につきました


“燃えカスはバケツに!”“決して、人に向けてしてはいけません!”


いくつかの注意事項を確認した後、花火を始めました、しかし

真っ先に騒ぎ出したのはオジサンとオバサンでした

火の点いた花火で子らを追い回し

花火より弾けているのでした


明日から“バリ島の塩”の味が

変わっても、ボクは知りません


家の中を勧められましたが

ボクとニョマンは砂の上に眠る事にしました

それは、子供たちが熱心に誘ってくれたからです

背中に感じる砂の暖かさと夜風の匂い、その爽やかさ

盛った砂の上に虫よけのハーブを敷いただけの枕も快適でした


椰子の葉影よりこぼれ落ちる天の川を掛け布団に

潮風とさざなみのデュエットを子守歌に

ボクとニョマンと子供たちは健やかな

眠りへと堕ちてゆくのでした


「ねえ、ニョマン」

『はい』

「寝た?」

『ネました』


「ねえ、ニョマン」

『はい』

「蛇とか、いないよね」

『今日はありがとうございました』

「そう、何が?」

『おかげで、オジサンとオバサンとイッパイ話せました』

「それは良かったね」

『あの人は、コイビトかとキカレました』

「ええ~、そう、なんて答えたの?」

『さぁ、と、言っておきました』

さぁ、ですか


「ねえ、ニョマン」

『はい』

「サソリとか、いないよね」

『さぁ』

「さぁ、じゃなくてさぁ」

『おやすみなさい』

ねぇったらぁ


満天の星空に

ビュンビュン流れる星屑が

今夜もボクを寝かさないのでした


翌朝は、ニョマンの仕事に合わせ夜が明ける前に“家”を出ました


見送ってくれたオジサンはその場でスルスルと、手近な椰子の幹に登り

その実をふたつ地表に落としました、さらに鉈で器用に天辺に穴を開け

麦ワラのストローもつけてくれました、オジサンとオバサンに手を

振り振り、甘くて温かいココナッツウォーターを飲みながら

ボクとニョマンは、ちょうど太陽が顔を出したばかりの

ビーチをクタに向かい歩いて行ったのでした


『ワタシ、もっと、ベンキョウします』

「そう、何を?」

『あの子たちに、ニホンゴを教えたいです』

「それなら、もう、充分と思うけど」

『まだです、なので、これからもよろしくおネガイします』


「為せば成る」

『ナセバナル?』

「為さねば成らぬ何事も」

『ナニゴトモ?』

「為さぬは人の為さぬなりけり」

『それも、ニホンゴですか?』

「はい、たぶん」


コテージに戻ると

ニョマンは朝のお仕事に

ボクはベッドの二度寝に

それぞれ為すべきことを

成しに向かいました

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る