第10話 魔道具の活躍

「えぇっと…死霊魔術を始めるに当たって必要なモノねぇ。」


 死霊魔術とは水と闇の混合属性であり、主に死霊を操る魔術らしい。それを為すには幾つかの下準備が必要となる。


「初めに魂…それを為すために必要な魔術が〈霊視〉って言う事ね。それじゃあ〈霊視〉」


 霊視の魔術を発動した途端に辺りに幾つもの魂が見える。これが魂と言う奴か。それで、魂を操作するためには…。


「〈霊話〉…おい、聞こえているか?」

「チュ~」


 おっと…俺の話に耳を傾けるのはネズミだけか…まぁ、人の姿をして無いから罪悪感も無いから良いか。


「それじゃあ俺に従ってもらおう〈調教〉」


 俺は調教のスキルによってネズミとの間にパスを作り出す。それによって晴れて俺の支配下となったネズミはその霊体で走り回っている。


「えっと…それで、この魂の状態じゃ不安定だから、何か肉体が必要になるってことね。」


 それからインベントリからゾンビの死体を取り出す。剣で切ったからかかなり損壊が激しいな。って、こんな時に使える魔術が合ったんだな


「〈死体補修したいほしゅう〉…魔力がかなり持ってかれるな。でも、死体が綺麗になったな」


 それから使役状態となったネズミを死体に固定しアンデットとしての生を与える魔術を行使する。


「これで良いのか?〈死霊作成しりょうさくせい〉」


 新たに作り出したゾンビとの間にもパスが生まれているのが分かる。これはネズミのパスをそのまま引き継いだ感じだな。取り合えず死霊魔術の基礎はこれで完了だな。


「水と闇は難しそうだし…今はこれで良いか。うん?運営からのお知らせ?って緊急アプデ?本当に急だな。」


 それから数分の間ゲームの世界から排出される事となった。それから数分後、アプデが終わったとの報告があり、俺はすぐさまゲームの世界へと入った。


《個体名〈レイ・ストヴァレン〉が進化可能です。進化しますか?》


「進化?急だな。取り合えず保留で。」


 取り合えず死霊系に一番詳しそうな人に聞いてみるかね。今の進化?ってのも詳しく知りたいし


「って事が合ったんですよ。翁は進化って知ってますか?」

「進化とは…魔物の基底にありし強化の法…あるいは女神の法とでも呼称するべきか…お前の道だ。進化するもしないもお前に自由だ。」

「…分かりました」


 それから迷宮の安全部屋にまで帰ってきて進化の項目を確認する。どうやら今の骨人からスケルトンに進化できるらしい。


「取り合えず進化だな」


《スケルトンに進化します。》


「これだけ?えっと…新たなスキルが生える。とかも無くこれだけ?なんかしょんぼり…まぁ、最初の進化なんてこんなもんか。取り合えず配下のゾンビのステータス確認をしてみるか。何か珍しいスキルでも習得してないかな。」


 名前 無し

 種族 ゾンビ

 種族スキル

 不死体Lv1.腐敗Lv1

 汎用スキル

 暗視Lv5.

 戦闘スキル

 体術Lv3.格闘Lv2.咬牙Lv2.劣再生Lv3

 魔力スキル

 魔力感知Lv1.魔力操作Lv1

 生産スキル

 鍛冶Lv1

 耐性スキル

 状態異常無効.闇耐性Lv1.打撃耐性Lv1.光脆弱Lv10.火炎脆弱Lv10.回復脆弱Lv10.神聖脆弱Lv10

 SP 0


 うん…まぁ、分かっていましたとも。所詮はゾンビだしそんな変わらないだろうと思っていましたとも。でも…何か劇的に変わった様子でも無いかなとか思っていました。


「でも鍛冶のスキルが有るのは珍しいな。まぁ、火炎脆弱があるから仕方ないけど。」


 そもそも鍛冶をするにしても金属が…有ったな。俺の身体から普通に生成できるわ。取り合えず炉と鍛冶台だけど…まぁ、魔術で何とかなるか。


 それから炉を土魔術で成形する。土の精密操作には慣れていないが故に、かなりのトライ&エラーを繰り返したが、最終的には何とか形になったと言うべきか…さて、火が無い。


「いやぁ…ここまでやって今更火が無い事に気が付くとは…火魔術は習得できないし…まぁ何とかなるか。」


 それから数分…マジで何とかなった。サバイバル動画でやっていた真似事をやってみた結果、見事に火が付いたのだ。それから鉱石魔術の石炭生成を使って、炉に火を入れる。


「おう…此処でもダメージが凄いな。…お前も当たって置けよ。お前の耐性値を下げるのが重要なんだから」


 それから距離を置きつつ火炎虚弱のスキルレベルを下げる事数時間…ゾンビの方は何とか再生が追い付いたのか普通にしていた。


「俺の方はまだだな。取り合えずこれで剣を作れ」


 耐性を下げるまでの間、暇だったが故に鉄を数キロほど生成したのだ。それを使って一振り剣を作ってもらう事にした。


 ゾンビの作業が終わるまで暇だと言う事で、俺は錬金術の探求をすることにした。今回は魔道具を作って行こうかと思っている。


「射出のスキルオーブと弓の相性が良いらしいし。やってみるか。」


 それから二つを大釜に入れて魔力を込めつつかき混ぜていくと、神剣の時よりは軽微だがちょっとした抵抗を感じた。でも、俺の剛腕の前では無視できる程度の重さでしかない。


 それから星空色の水を眺めつつ魔道具の完成を待っていると、途端に煙を上げつつ排出されたものを見てみる。


 名前 射出の魔弓

 品質 E

 説明 ありとあらゆる物質を射出する事が可能となる魔道具

 効果 射出Lv1


「う~ん…強い、のか?取り合えず試してみるか。射出…何も起こらない?」


 それからインベントリに魔道具を収納する。なんだか残念な気持ちを感じつつ鍛冶の進捗を確認しに行ったら、凄い熱気の元で作業をして居た。余りの気迫に喋りかける事を忘れ去る程だった。


「完成…しました。」

「よし…上出来だ。これからも剣を作ってレベルアップ頼んだぞ」


 名前 名無しの鉄剣

 品質 G

 説明 拙い技術でもって作られた剣。これと言った特性は無い。

 効果 耐久力低下Lv3.鋭さ低下Lv1


「まぁ倉庫の肥やしだな。」


 それから追加の鉄を与える。そう思いつつ鉄を作り出していると、いきなりスケルトンが襲ってきた。だが、俺は鉄を生成している途中だ。魔力も無く応戦するにも手が無かった。


「クソッ…」


 咄嗟にインベントリの内部にある剣の事を思い出した。それを取り出した瞬間に、剣は勢いよく射出された。それに対してビックリしつつも、冷静に考えた。


「これが射出の魔弓の効果か?結構使えるじゃん。取り合えずお前は剣を作り続けろ。材料が欲しかったら俺に言え」

「はい…。」



 ————————

 あとがき

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