第5話 勝利

 あれからスケルトンの骨を食い尽くした頃にそれは起こった。


《スキル〈劣骨体Lv9〉が〈劣骨体Lv10〉に上昇しました》

《SPを10取得しました》

《スキル〈骨体Lv1〉が習得可能です。習得しますか?》

《スキル〈魔骨体Lv1〉が習得可能です。習得しますか?》

《スキル〈劣神骨体Lv1〉が習得可能です。習得しますか?》


「何か色んなスキルが解放されたな。んで。どんなスキル何だ?〈解析〉」


 骨体 説明・頑丈な骨の身体を得る

   効果・魔術と刺突に対して抵抗を得る


 魔骨体 説明 魔力を豊富に宿した骨の身体を得る

    効果・魔力量の上昇・魔力循環性能の上昇


 劣神骨体 説明・僅かに神の力を宿した骨の身体を得る

     効果・神の力に対して微抵抗を得る


「この中で最もレアそうな劣神骨体は除外だな。消費が10もある。今の状況じゃうかうか習得できない。もしかしたらダメージになるかもだし。」


 そういう意味では骨体と魔骨体は両方とも言い。何せ骨体は消費が2で魔骨体も消費は3とかなり少ない。


《新しく種族系スキル〈骨体Lv1〉を習得しました》

《残りSPは54です》

《新しく種族系スキル〈魔骨体Lv1〉を習得しました》

《残りSPは51です》


「う~ん…ここで神骨の方も取得するべきか?…今は良いな。でも…この際だし魔力系のスキルを幾つか習得するか。」


《新しく魔力系スキル〈魔力循環Lv1〉を習得しました》

《残りSPは50です》

《新しく魔力系スキル〈魔力消費緩和Lv1〉を習得しました》

《残りSPは45です》


 それから新たに習得したスキルたちを実践で使えるように鍛えていたら、また新たなスキルが習得できるとの音声が流れた。


「何々…身体強化、消費は1ねぇ。よし習得だ。」


《新しく強化系スキル〈身体強化Lv1〉を習得しました》

《残りSPは44です》


「よし…これで攻略してみるか。」


 それから第一階層のゾンビを相手に身体強化の効果の程を試してみたが、素晴らしいと言う他無かった。今までよりも格段に言う事を聞くこの肉体に驚きを感じていた。


「この感じなら第二階層でも大丈夫そうだな。」


 まぁ、女神石の棒を持っている限りアンデットが相手なら問題無いでしょ。そう思い第二階層への階段を下ると、そこにはスケルトンが奥を向いていた。それに気づいた俺は、すぐさま隠密と消音のスキルを発動する。


「よしよし…バレてね無いな。このまま。死ね」


 頭上から棒を振り下ろしてスケルトンを撲殺する。それだけで倒せるという事実に対して少しだけ呆気なく思いつつも探索を進めて行く。敵がどの場所に居るのかは既に魔力探知でバレている。


「そして後ろから撲殺すれば…問題無く下にまで行ける。」


 と言うか魔骨体のスキルを習得してから魔力関係がスムーズな気がするな。まぁこれがスキルの賜物か。


「これが下に続く階段か…さてと次はどんな奴が相手なのかな?」


 下への階段を下ると同時に聳え立つ扉に対して、かなりの緊張感が有った。この向こうから途轍もない魔力の反応があるからだ。


「取り合えず女神石の方は収納しておくか。落して使われたら最悪だ。」


 どうやらこのゲームでは死亡時に持っていた装備品をドロップするみたいだ。それもあり、棒を予備のモノへと持ち帰る。それから扉を開け放と同時に放たれたのは弾丸…。


 俺は避ける間もなく死んでしまった。


「何あのクソゲー…まさか弾幕ゲーをやらされるとは思いもよらなかったよ。」


 何かあの攻撃を見たら一気に萎えてきたな。取り合えず他のスキルレベルでも上げるか。そうすれば何か道筋が見える筈だ。


 それからリアル時間にして1週間みっちり特訓した事で、何とかアイツと戦えるのでは?と言うレベルにまで達した。


 名前 レイ・ストヴァレン

 種族 骨人

 固有スキル 解析Lv2

 種族スキル

 骨体Lv5.魔骨体Lv2.骨修復Lv3.

 汎用スキル

 演算処理Lv3.言語学Lv1.消音Lv7

 戦闘スキル

 体術Lv6.棒術Lv5.体力回復Lv5.隠密Lv7.魔力探知Lv2.回避Lv7

 強化スキル

 魔力強化Lv2.硬化Lv3.身体強化Lv2

 生産スキル

 錬金術Lv1

 魔力スキル

 魔力感知Lv10.魔力操作Lv10.魔力付与Lv4.魔力循環Lv5.魔力消費緩和Lv2

 耐性スキル

 状態異常無効.闇耐性Lv1.刺突耐性Lv1.光虚弱Lv8.打撃脆弱Lv8.火炎脆弱Lv10.聖銀脆弱Lv10.回復脆弱Lv10.神聖脆弱Lv10

 称号

 ボケ役.迷宮発見者.死に戻り.努力家

 SP 49


 これだけスキルを上げれば取り合えず死にはしないだろう。そう思いつつ第三階層へと足を踏み入れた。そうするといきなり弾幕ゲーの如くに放たれた魔弾を避ける。


「カラカラ…大魔弾」

「クッ…回避を上げたとしても辛い…」


 回避のスキルをかなり上げたというのに、攻撃する事はおろか近寄る事すら出来なかった。だが、コツは掴んだ。此奴の魔術の発動は分かりやすい。俺の魔力探知が有れば起こりが分かる。


「しぶといな。魔矢」

「なに…っと、あっぶねぇ。ギリギリだ」


 いきなり放たれたのは高速の矢だった。そのスピードは先の魔弾にも匹敵する程のスピードだった。それをギリギリの所で避けると、相手の骨は怒ったかのように魔術を連射してきた。


 回避だ。取り合えず此奴の攻撃を回避しないと始まらない。でも、何時かチャンスが訪れる筈だ。今はそれを待つのみだ。


「魔流」


 途端に魔力が津波のように襲ってきた。俺はそれに対処する間もなく、飲み込まれてしまった。だが、ギリギリで死にはしなかった。恐らくは発動していた魔骨のスキルだろう。


 だが、今の攻撃はその身の魔力を大幅に削ったのであろうことは察せられる。途端に魔術の雨が止んだからだ。それにアイツの魔力量が手に取るように分かる。


「チャンスは今だ。」


 俺は女神石付きの棒を取り出し、相手に向かって振り下ろす。それを杖で受け止めた骨は…杖を巧みに使い俺を翻弄していた。


「解析…」


 名前 レーベル

 種族 スケルトン・メイジ

 種族スキル

 骨体Lv4.魔骨体Lv3.骨修復Lv5.魔術適正Lv5

 戦闘スキル

 体術Lv10.格闘術Lv2.棒術Lv10.杖術Lv4

 魔力スキル

 魔力感知Lv8.魔力操作Lv5.無魔術Lv6.水魔術Lv4.闇魔術Lv3.死霊魔術Lv3

 耐性スキル

 状態異常無効.闇耐性Lv1.刺突耐性Lv1.光脆弱Lv2.打撃脆弱Lv10.火炎脆弱Lv10.聖銀脆弱Lv10.回復脆弱Lv10.神聖脆弱Lv10


 此奴…恐らく女神石の効果に感づいているな。さっきから棒に触れないように杖で抑えてやがる。そっちがその気なら。上から叩きのめすだけだ。


 俺は全力で魔力付与を使って相手のスケルトンの杖をはたき落とす。それを取ろうとしたスケルトンの腕に女神石を当てる。そうすると浄化されていくのが分かる。


「グガァ~」

「なに…腕を切っただと?」


 魔力の刃がスケルトンの腕を切り裂く。恐らくは浄化が本体に届く前に腕を切断することで浄化の手を止めたのだろう。だが、此奴に此処までの知能が合ったとは…骨修復によって骨が再生されてゆく。


「だが、隙だらけだ。」

「なんの」


 相手のスケルトンは自分の腕を杖に見立てて棒による攻撃を無効化したのだ。これに対して驚きつつも、俺は冷静に次の手を考える。だが、その隙にスケルトンは力を込めて俺を突き飛ばした。


「勝ったな。」

「いや…まだだ」


 スケルトンが勝ちを宣言するが、俺はまだ負けちゃいない。俺はすぐさま魔力を練り直す。全身に行き渡らせると同時に魔力の全てを魔力付与と身体強化につぎ込む。


「これで最後だ。」

「グギャァ~」


 最大限まで強化された身体能力と魔力付与によって、スケルトンの持っていた杖を吹き飛ばし、その隙だらけの頭蓋に棒を叩き込む。それによって沈黙したスケルトンを見て、俺は勝利したのだと確信した。



 ————————

 あとがき

 皆さまここまで読んでくださって、ありがとうございます。

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