ユニーク・ファンタズマ~固有スキル【解析】でのんびりゲームライフ~

半目真鱈

世界に降り立った骨人

プロローグ

 ユニーク・ファンタズマ…これまで何作もの神ゲーを発売したエデン社から、また一つ神ゲーと呼ばれるものが発売された。


 何度ものβテストを経て、遂にアーリーアクセス版が解禁された。俺はもちろんこの応募に真っ先に目を付け応募した。そして、俺は遂に神ゲーへの切符を手に入れる事となった。


「ズルイよなぁ…兄さんは、」

「すまんな。…だが、これも運と言うモノだ。許してくれ給えよ」


 俺の目の前でぶー垂れているのは、実の弟の赤石碧兎だった。やはりエデン社の最新ゲームと言う事で弟も応募したが、その切符を勝ち取ったのは俺だけとなった。


「俺は一先ず楽しんでくるから、お前も来月の一般販売に向けて、金貯めとけよ」

「モチのロンよ。直ぐに追い抜くから覚悟しておけよ」


 弟との何気ない会話を終了させて、俺は散歩の為に家を出る。ゲームの開始までには後2時間はある。それならば散歩でもして気を紛らわせようと思い、俺は街へと繰り出した。


「エデン社よりアーリーアクセス版が解禁された最新ゲーム…ユニーク・ファンタズマの魅力をご紹介」

「ユニーク・ファンタズマは来月発売」


 街に出るとやはりユニーク・ファンタズマの広告が目に付く。何せあのエデン社だ。大昔のVRMMORPGがまだ空想の産物だった時代より、人気タイトルのゲームを発売してきたゲーム界の生ける伝説だ。


「そんな会社の最新ゲームと成れば…こうなるのも当然か」

「あれ?…そこで歩いているのは、ラッキーパンチでアーリーアクセス版を勝ち取った。先輩じゃ無いですか?」


 俺は背後を向かずとも相手の情報を知れる特殊技能が有る。…と言うとは冗談で、この小悪魔的な声…アイツだ。弟、碧兎の同級生で俺に何かとちょっかいを掛けてくる後輩だ。


 まず目に付くのは青色の髪だろう。最近の遺伝子操作技術で安全にそして、何よりも何のデメリットも無く髪色を自由に変更できるのだ。彼女ほどの奇抜な髪色は最早日常と言えるだろう。


 そして、青色と琥珀色とオッドアイが見る者すべてを引き寄せる。そんな彼女は、夏休みだというのにいつも通りの制服姿で、道行く者を魅了するのだ。


「桜か…それで?そういうお前こそ、アーリーアクセス版は手に入れたんだろ?」

「もちろんじゃないですかぁ…先輩みたいに運試しじゃ無く、ちゃんと実力で勝ち取りましたとも。」


 たわわに実った果実を見せつけるかのように語る彼女は、正に小悪魔と呼ぶに相応しいだろう。だが、そんな彼女を語る上で欠かせないのが…AA社…日本語で表すならばエートゥー社と言う…。


「お前は良いよな。AA社の時期社長だろ?そんなお前に係れば大抵の事は成し遂げられるだろ?」

「もっちろん…この私、霧鷹桜ちゃんに出来ない事なんてありませんとも。」


 そう…今目の前に立っているのは世界有数の財閥の令嬢なのだ。こうして会話している間にも、数十人の護衛がこちらを観察しているのであろうことは察せられる。


「それで…わざわざ俺に話しかけた理由でもおありかな?」

「ユニーク・ファンタズマ…一人寂しくプレイするであろう先輩の為に、この私が一肌脱ごうというのですよ。…どうです?こんな美人と一緒にプレイできるんですよ…」


 成程…一緒にプレイしないかと言う誘いか…う~ん…良いんだけど、俺は一人で黙々とプレイするのが好きだからな。


「ご免けど、暫くは一人でプレイするよ。お誘いは有難いけどね。」

「…そう言うと思いましたよ。それじゃあ可愛い桜ちゃんとはこれでサヨナラです。あっちの方で会いましょうね。セ・ン・パ・イ。」


 やっぱり彼女と会話していると何か見えない数値が削られていく感覚がある。まぁ見た目は最高なんだけどなぁ…一つだけ問題が有るんだよなぁ。


「まぁ、時間も時間だし、そろそろ帰るか。」


 そうだ…この疲労感はゲームで発散するとしよう。あっちの世界じゃどんなプレイスタイルで行くかなぁ…と言うかどういうロールプレイしよう…あぁ、楽しみだな。


「そう言えば人外にも成れる見たいだし、そっち系に行くのも良いな。」


 確か広告では魔法とか錬金術とか色々と要素があるらしいし、それに適した種族とか無いモノかね?


俺はこれから始めるゲームに対しての思いを馳せつつ家へと帰宅する。その道中は見事に軽やかなモノだった。




—————————

あとがき

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