第10話 宝の山1

〜億田金融・事務所〜


コン―コン―ケン!

けん玉の妙技の一つ、三段跳びが成功した!

「よっしゃ〜!」

たくやは子どものように喜ぶ。

妙技・三段跳びとは、受け皿二つと、柄(え)の底で

玉を受ける技である。

「兄貴!

 やりましたわ!」

「たくやぁ。」  「へい!」

「セミの鳴き声より、やかましいわ。」

「へ?」

「ふふ。

 一本取られたわ、たくや君。」

律子はかわいく笑う。

「たくやぁ。」

「へい。」

「けん玉極めるんやったら、

 玉入れも極めたらどうや?」

「玉入れ?」

運動会のそれである。

「ふふ♪

 監督も投げられたわ、たくや君。」

「え〜〜!?

 堪忍しておくんなはれ!」

スマホが鳴る!億田のだ。山本譲二さんの

みちのくひとり旅が流れる―――。

見ると、忠勝からだ。

「億田です。」

「銅さん。

 大変ですわ。」

その声は緊張していた。億田も笑顔を消す。

「なんですか?」

「大坂城が乗っ取られました。」

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