第4話 ステ振り完了

『仲間か。街に行ったら、おるかもしれん』


「そうだね。まあ、ひとまず自力でやってみるよ」


 ルートからして、街までの距離は結構ある。これだと、数日は掛かりそう。


 まずは家を建てて、畑を作って、食糧を確保するんだ。


 なにより、いきなり街に行ってもできることが多くなりすぎてしまう。一瞬で、パニクりそうだ。


 街でガイドしてもらうより、まずは手探りで色々やってみたい。


 そのためには、スキルなども学んでおかないと。


「ステータスは、クラフトにも影響するんだよね」


【体力】は、物理的な力だけではなく、クラフト時に重いものを軽々と持ち上げられる。


 試しに、その辺の木を素手で切ってみた。


 体力の影響か、スパーンと一発で切れたではないか。


 普通の【ツルハシ】と、【重いツルハシ】を作る。


「軽い!」


 重いツルハシでも、普通のツルハシと同等の重量で振り回せるぞ。


「でも、アイテムの所持数が増えるとかじゃないんだ」


『それは【チェスト】……宝箱を作らんとな』


【魔力】を上げると、クラフトのレパートリーが増えるそうだ。


「ダリ、【敏捷性】は?」


『クラフトする速度が、上がるで』


【命中率】は、運の要素があるという。クラフト時に、運がよかったらレアな作物が育つらしい。運次第だけど。


 迷うけど、今は均等に行こう。いつでも振り直せるらしいし。


「スキル、スキル、と」

 

 クリティカル率を上げる【ハードヒット】に、ポイントを振る。あとは【鉄のフィジカル】で、防御力の上昇を図った。


 スキルポイントは、クラフトに重点を置く。

 とにかく、生き残ること。生活を充実させることを、目指すぞ。


 なになに? 【クラフト時間短縮】ってあるじゃん。これにしよう。

 後は、素材が余分に出てくる【素材分裂】かー。これも、いただいちゃおう。タイパタイパ。

 

「【食材確定ドロップ】とか、最高じゃないですか。取りましょ取りましょ」


『その代わり、素材ドロップ率が低下したで』


「いいもん」


 生きるためなら、メシよメシ。

 


~~~~~ ~~~~~ ~~~~~

 


◎ 名前:レオ・シズマ

 


◎ レベル:一

 


◎ ステータス


 体力:一〇


 魔力:一〇


 敏捷性:一〇

 

 命中度:八

 

◎ ストリーマー 【レオ・シズマ】 専用スキル


 【戦闘用人格:レベル 三】 


(残りStP:〇)


 

◎ アクティブスキル

 

 【プラズマセイバー】

 【ハードヒット】


◎ パッシブスキル

 

 【鉄のフィジカル】

 【鷹の目】

 【よくばりさん】

 

 

◎ クラフト用スキル

 

 【クラフト時間短縮】

 【素材分裂】

 【食材確定ドロップ】



(残りスキルポイント:四)


 

◎武器

 木刀『コガラシ』

 

◎防具:身体

 雄女オトメの学ラン


◎防具:その他

 デフォルト装備

 

~~~~~ ~~~~~ ~~~~~



 よし! キャラメイク完了!




  結構なスキルポイントを消費して、いざ冒険へ。

 

「さっそく、冒険開始!」


 まずは、家だ。


「ねえダリ、どこに建てたらいい?」


『どこでもええで』


 ダリからは、そっけない意見が。


『どこに建てても、じきに別のところに建てたくなるもんや。建てるだけ建てといたら? 気に入った場所ができたら、敷地を丸ごと転居も可能やさかい』


 すっご。そんなことができるんだ。じゃあ、建てたもん勝ちだな。


「魔物とかに襲われない手頃な場所とか、ないかな?」


『それは、あんまりオススメできへんな』


「どうして?」


『魔物も、素材やからな』


 そっか。魔物の中には、食用のモンスターもいる。

 あまり魔物がいない領域で家を建築すると、素材不足に陥る可能性が高い。

 まして私は、食材が確定ドロップするスキルを持っている。住居や畑が充実するまでは、素材集め系を中心にスキルを振るほうがいいね。


『ここは、水場も近い。その池も、ちゃんと川と繋がっとる。相当ラッキーな場所かと』


「そうだね。じゃあ、この池を拠点とする!」


 まず私は、その辺の木を【重いオノ】で切り倒す。大量の木材が、手に入った。こういうとき、専門的な知識がいらないって便利ー。ある程度のゲーム知識は、必要だろうけど。


「【樹の実のタネ】、ゲットー」

 

 ひとまず詰むまでは、クラフトクラフト、と。


「家、家。やっほやっほー」


 木材を組み立てて、念願のおうちが完成した。何の装飾もない、豆腐ハウスだけど。


 次は木を加工して、スコップやらクワ、ツルハシを作っていく。


【重いスコップ】だと、一発で土を三マス掘れる。ノーマルのスコップだと、ひとマスしか掘れないもんね。

 整地した場所を、クワで耕す。そこへ、【樹の実のタネ】を植えた。


【石のツルハシ】を作ったのは、手早く石を砕くためだ。


 土はスコップがあればいいが、石材はツルハシでないと簡単に壊せない。


「いえふー」


 サクサクと、ツルハシで岩を砕いていく。なんかいい素材はないものかな~?


「おや?」


 サクサクって変な音が、地面から聞こえてきた。


 なんだなんだ?


「掘ってる?」


 これって、地下からこちらに向かって堀る音では?


 なにかが、こっちに向かってきている。


「ひええええ! ヘルプ! ヘールプ!」


 ボコッと地面がえぐれて、美少女が飛んできた。


「うひゃああ!」


 少女は、私の胸に飛び込んでくる。


「あれ、クラランちゃん!?」


 地面から現れたのは、かつての同期だった海外勢トップアイドルV、【石嶺いしみね クララン】ちゃんだった。

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