第2話

初邂逅の翌日


「お隣に余所者が引っ越してきましたが、

絶対に関わらないように。」


母はいつものように、冷淡な声音で言い放ちました。


「名前とかって教えてもらえ…ませんよね、わかっています…。」


「名前?関わることなどないのだから、知る必要はありません。」


そんなことを言われても、あの運命的な出会いを果たした後、納得できるわけがありません。

必ずあの子と親しくなるために、名前を調べあげて見せます!


齢12にして初めての反抗です。最近初めてだらけです。あの子に会いたいという気持ちだけで、人間はこんなに変われるんだ。

まあ、ぽっと出の女の子に負けるような、あの最低最悪な母親が悪いですね。


どうすればお隣さんのことについて知ることができるのか、小さい頭で考えました。


あの母でも、酒を飲めば必ず隙は生まれます。酔っ払ったときに、母の私室の鍵の在処を盗み出すくらいよゆーですね。

母不在の折、鍵を持って母の私室に入りました。使用人にも見つからないようにしなければなりません。


「カチャっ――」


思ったより鍵が開く音が大きかった時は、心臓がうるさくなって、生きた心地がしませんでしたよ。

あの子の為ならと思いながらなら、何とか落ち着いて動けましたが―。


「どれどれ…」


机の上には、誰かからの贈り物のタオル。

乱雑な扱い、1番上に置かれた状態、これは十中八九お隣さんからでしょう。その横には家族写真のようなものが見えましたが、あの母に限ってそんなことは無い。

ので、気にしませんでした。


「えっと、名前は…。」


百日紅


それが僕の初恋相手の名前でした。読めない方は頑張って調べてください。ggrksって奴ですね。家庭教師が言っていました。好きな人以外に優しくするつもりなんてありませんから。


「百日紅…、百日紅かぁ」


僕は初恋相手の名前を

何度も、何度も反芻しました。


「何度も私のこと呼んでどうしたの?」

「えっ?!」


この僕本日2度目の不覚。

ぼーっとしているうちにお楽しみ時間になっていたようです。

しかし、チャンス―逃してたまるものですか。


「あっ、あの…。下のお名前って、なっ、なんでふか?あっ―。」


とんでもない失態もう嫌われました終わりです。ここまで読んでくださりありがとうございました。次回作にご期待ください。


「ふふっ…。あはははは!

りっか―、私の名前は立夏っていうの!よろしくね。」


まだ終わっていなかったようです。今作に期待してください。


「立夏…、立夏…、立夏!」

「何度も呼ばないでよ!」


そう照れる君は、夕日に照らされてとても美しく見えました。


昨日箱庭に、小さな光が差したと言いましたね。

あれは嘘です。

もう箱庭が太陽で満たされました。

箱庭恋愛なんて大層な名前を付けましたが、一瞬で箱庭じゃ無くなりましたね。


「おーい、何してんだー。」


「あ、お父さんに呼ばれてる。バイバイ隣の子!」


「えっ?あれっ?名前教えるの忘れてた!」




そういえばあの穴開けたの、あの子なんでしょうか?



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箱庭恋愛 @asarimaru89

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