第16話 ドクマ対オズノ
超小型宇宙艇から第一星域連絡ポートに向かうドクマの前に、小さな石ころのようなものを投げたブルーは自動操縦に切り替えて必死で何かを詠唱している。
何も起こらない。
ドクマの一番前の足が第一星域連絡ポートの縁を踏もうとしたそのとき。
ドクマの体の下から二股に分かれた巨大なカブトムシの角が現れ、ドクマの巨体を膨張する自らの身体で持ち上げていき、最後には背中の方向に引っ繰り返した。
「オズノ、生きていたんだね。カゼハ姉ちゃん、ありがとう。
オズノ、大ムカデをやっつけるんだ」
再度、オズノとドクマが激突し、オズノの質量がドクマを後退させる。
オズノとドグマの激突で第二星域連絡ポートは床、壁面、天井、外壁が破壊され、外壁の穴から空気と破壊された施設のかけら、旅行者の遺体が虚空に放出される。
三度、四度と激突する度にオズノが当たり勝ちしてドクマを後退させるも、ドクマの牙から緑色の液体が流れだした。
五度目の激突で初めてドクマが押し戻す。オズノの顔面に紫色で粘菌の網目模様のような構造が張り付いていく。六度目の激突でオズノの眼球の発光が止まる。七度目の激突で口と思われる場所から大量の吐瀉物を吐き出し、床に腹を密着させて倒れたオズノは二度と動くことはなかった。
「オズノ、負けてしまったの? 第一星域連絡ポートがドクマに壊される」
ブルーのあげた悲鳴をレッドの秘匿通信が打ち消す。
『オズノの倒れた場所をよく見てみろ、ちょうど第一星域連絡ポートへの連絡通路の入り口部分を塞ぐ形になっている。あれではドクマは第二星域連絡ポートから出られない』
「ちっ! 命拾いしたようだね。だけど時間の問題さ。第二、第三の星域連絡ポートを通って、反対側から第四星域連絡ポートを壊すだけのことさ」
オズノの巨体が立ち往生することで、クワナの破壊は、一旦は回避された。
『ブルー、カゼハの残した印は何だった?』
『レッド、彼女の弟さんの名前、ゴローという印だったのさ』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます