第17話――米畑霊、死す。(3回目…もういいって。そんなに、私を殺すのが好きかぁ?!あぁ!?)

「と、友達ですか……」

「そうよ!イケメン好きな人間はみんな友達よ!」

 愉快に笑う彼女は、とても悪霊には見えなかった。

髪はロングで、顔つきも美人。顔色も悪くないし、とても綺麗な女性だ。

 服も…うん?

すごく綺麗なスーツだ。悪霊でもう死んでるはずなのに…どうしてこんな…。


「それで聞いてくれる!

私、裏切られてここで殺されたのよ!もう…ナイフで刺された時は痛くって痛くって…死ぬってほんとに怖いのね!」

 彼女は愉快にそう言ったが…普通に物騒な話だ。

「んで…何で裏切られたんだぁ?」

 今まで黙り込んでいた花が喋る。

「はぁ?あんたの質問なんかに答えるわけ無いじゃない。

でねでね…あいつ、私のことをずっと騙してたの!」

 彼女は花の事が嫌いらしい…。なんか、すごい人に好かれちゃったなぁ。

「最初はいい男だと思ってねぇ…付き合い始めて、彼は私に夢中!って思ってたの…。

でも、結局は金目当て。高いディナーを私に払わせた後…金を渡せって。

もちろん私は彼のことを信用してたから渡したわ。

でも…その後すぐに態度が変わって揉めたの。それがエスカレートしてって…

刺されて死んだ。

って感じ」

「そ、そんな…ひどすぎます!」

 私は思わず声をあげた。だって、そんなのひどすぎる。確かに彼女は品があってセレブっぽい。でも…だからって。

「そうでしょ?!あなた〝も〟そう思ってくれるのねぇ。やっぱり世界って広いのね」


「おい…〝も〟ってなんなんだ」


 花が真剣なトーンでそう言い放つ。



「いやっ…私が刺された後に〝黒い男〟が話しかけてきたのよ。


 黒い男だって?いかにも怪しい。

トンネル内に冷たい風が吹き、湿った匂いが香った。


「なんか知んないけど…『可愛そうだね。あいつが憎いだろ?』とか私のこと分かってくれて。

嬉しかったのと同時に…アイツのこと…いえっ、生きている人間すべてが憎くなったのよ」


「それでお前は『悪霊』になったんかぁ…」


「そうね。確かに…人間なんかみんな死んだほうが良いと思うようになったし、この爪も手に入れられたし…

でも……

あなた見たいな素敵な子もいるんだもの、恨んでばかりいちゃもったいないわ!」


 彼女はキラキラとした目を私に向けた。いやいや…私はそんな素敵な人間じゃないですよ。でも、こんなに好意を寄せられて、悪い気はしないな。

「だから、私は悪霊だけど悪霊じゃなく生きるわ!これからはね。

イタズラとかはやめて…ここの治安を守ろうかしらねっ」

 そうか…この人はこのあいだ悪霊になったばかりだから、そこまで黒に染まっていないのか…。

 でも、良かった。

彼女の心の支えに慣れたのなら…。

「ねぇ、黒髪お嬢ちゃん、名前は?」

 いきなりそう聞かれた。

「えっと…米畑霊です」

「霊ちゃん!いい名前ね。私は西園寺清美(さいおんじ きおみ)よ。

よろしくね」

 清美さんと私は握手を交わした。

 今までは、幽霊が本当に嫌いだったけど、ほんの少しだけ克服できたかもしれない。




「あのさぁ……、お取り込み中のところ悪いんですけどぉ。私のこと解放してくれませんかぁ〜」

 

 そうだった…花のこと完全に忘れてた。


 


「ハイ、チーズ」

 花はカメラを持ち、私と清美さんのツーショットを撮る。

「ほらっ、もっと寄れよ。記念撮影だ。友達記念日なんだしよ」

 私たちは距離を縮め、くっついた。そして、満面の笑みでピースをした。

「あんたに撮られんのは嫌だけど…、霊ちゃんと写真が撮れるのはすごくうれしいわ。

また、遊びに来てね。次はあなたの恋バナを聞かせてちょうだい♡


あっ…でも、黒い男には気をつけなさいよ。確かにイケメンぽかったけど…騙されちゃだめよ」

「はい、わかりました。あのっ…また遊びに来ますね。清美さんもお元気で」


 私たちはそう言って彼女に別れを告げた。


 いや〜、死ななくて良かったぁ!

やっぱり勇気出すの大事だわ!

「お前、私以外の幽霊と友達になんの…始めてじゃねぇの?」

「確かにそうだね。いやっ…でもまさか、私が幽霊と友達になるなんて思っても見なかったよ」

「確かになぁ。あんたはビビりで幽霊が大っきらいだもんな…なのに、こんな好かれるのはある意味才能かもしんねえな」

 私達の足音が反響し、声が響き渡る。

少し冷たい風がヒュウっとなびき、私の髪を揺らした。同じ場所なのに…さっきと今では全く印象が違う。

 今は全然怖くないし…。

何事も無くて…本当に良かったな!



しかし、油断してはいけない。



「次はお前だ」



突然頭の中で、男の声が響いた。とても不思議な感覚だ。直接脳みそに話しかけられているような…。

 でも、次はお前だって?

私が何かされるのだろうか…。

 でも、この声は花には聞こえていない。

きっと聞き間違えか耳鳴りだろう。

 私はその声を気にすることなく家へと帰ったが…。



 この時、気づいていれば、あんなことにはならなかったのかもしれない。



次回予告!


 私のことを心配して、花が学校に?!

「大丈夫だぁ。私のこと誰も見えやしねぇ」

そうは言っても…。

そんな時、学校で巻き起こる様々なトラブル。

そして、まさかの「悪霊」!?

一体、どうなっちゃう…んだ…。


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ここまで読んでくれてありがとうございます🙇

画面の向こう側では、作者が深ぁーくお辞儀をしています。

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https://kakuyomu.jp/works/822139837258713198/reviews

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次回「ドキドキ。花ちゃんの初スクール」

お楽しみに。

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