第二章――巫女さんのひ、み、つ♡編
第7話――今日も平和な日常――家に帰るまでは…。
「はぁ……、どうしたらいいかなぁ」
「どうしたのですか、霊さん?」
ため息をついた私に話しかけてきたのは、巫女さんだった。
今日も相変わらず美人ですねぇ。
私が憧れていた、黒髪の姫カット……、こんなに似合う人はなかなかいないと思いますよ?
さぁ、そんな巫女さんと私は折り紙を折っていた。
なぜなら、今は委員会の時間。
私たちは福祉委員で、近所の幼稚園にプレゼントするための折り紙を作っていたのだ。
私は残念ながら鶴しか折れないが……、巫女さんは亀や兎、手裏剣など、子供たちが喜びそうなものを多数作っていた。
「いやぁ……、実は、親戚の子が二人くらい引っ越してきてですね。まだ幼いんですけど、その子たち仲が悪くて……よく喧嘩しちゃうんですよ」
「なるほど……。喧嘩というのはどんな感じの喧嘩なんですか?」
「そうですね……。
まずは叩きあったりとか、殴り合い、あとは武器を持ち出して、殺し合いとかですかね。
そのせいで、今家が壊れてて、
昨日夜まで段ボール貼りしてたんですよね」
私は当たり前のように言ってしまったが……
「そ、そうなのですね……」
いやっ……、普通におかしいやつだよな。
親戚で殺し合いはさすがにないだろう。それに、家が壊れるまでの喧嘩って……どんだけエキサイティング何だよ。
激しすぎだろ。
私は唯一話せる知り合いを失ってしまうかと、思っていたが。
「そうですね……、もし、喧嘩が過激すぎるのであれば、力の矛先を変えてあげるといいかもしれません。
例えば、トランプや指相撲、ゲームやクイズで勝負させるって方法もありますね」
意外にも巫女さんは、真剣に答えてくれた。
それに、巫女さんの言っている、ゲームで喧嘩させるというのも……凄くいい案だ。
私はゲーム大好きだし、物置をあされば色んなゲームが出てくるだろう。
まぁ、中には教育に良くないものもあるが……。
「ありがとうございます!
今日、帰ったら早速試してみますね。それなら2人も喜ぶと思いますし……。
本当にありがとうございました」
私が深くお辞儀をすると、巫女さんは、にこやかな笑みを浮かべた。
「いえいえ、そんな大したことは……」
「ん?えっと……、どうしました?」
巫女さんは、私の筆箱をじっと見つめていた。
私の筆箱にはアニメのキャラステッカーしか入ってないけど……。
「いえっ、あの……、アニメ好きなんですか?」
巫女さんは珍しく頬を赤く染めた。いつも凛としているのに、本当に珍しいな。
でも、なんでいきなりアニメの事なんて……。
「えぇ……好きですよ。私はこの世で一番アニメがゲームが、好きです。
アニメってのは、とてもいいんですよ。現実逃避させてくれるし、何より声優といい作画といい、いいものは全部いい。原作の漫画や小説もいいですがやはり、アニメにはアニメの良さがあると思うんですよね。ちなみに、アニメの制作会社によっても雰囲気は変わりますし、キャラデザも変わります。あっ、このステッカーのキャラはですね。ボーイッシュなのに、女性で……、ぱっとみ性別がわからないのが魅力でしてね。なのに、暗い過去を持っていて、重い感じが最高なんです。この作品はとにかくバトルシーンが素晴らしく、世界観も素晴らしいんですよ……それでそれで……」
「あのっ……」
やばい。
私は久しぶりに頭が真っ白になった。
なんてことをしてしまったんだ……!こんな時にキモオタ発動して……、巫女さんを困らせちゃったじゃないか。
時を戻したい。やり直して、数秒前の私を助けてあげたい。
あぁ……もう、喋れる人今日で0人になっちゃった。
「あの…私…」
「キーンコーンカーンコーン」
巫女さんが何かを言う前にチャイムがなってしまった。巫女さんは何か言いたそうにしてたけど……、まぁ、
「もう、アニメの話はいいです。霊さんってオタクだったんですね。ちょっと引きました。それではさようなら……」
とか、言いたかったんだろうなぁ。
まぁでも、幽子さんの怒りを鎮め、2人が平和に喧嘩できる解決策を見つけてくれた。
私は巫女さんに感謝し、帰ったら実践してみよう。
って…折り紙作り終わってないから、
家で作んなきゃだ……。はぁ…宿題か……。
でも、家に帰れればの話だ。
「は?」
私は足の力が抜け、膝から崩れ落ちた。
「どうゆうこと?」
そこに家があったはずだった。私は確かに下校し、家へ帰ろうとしていた。いやっ、帰ってきたのだ。なのに……。
周りに落ちているのは、家だったものの破片。
家がボロボロに崩れ、壁の破片がそこら中に落ちていた。
「ない……家が」
家が……なあああああ
ああ
ああああ
ああ
ああ
あ
あ
い!!!
―――――――――――――――――――――――
家がぶっ壊れ、放心状態の霊ちゃん。
一体壊した犯人は…ってもうあの二人じゃん。
しかし、霊ちゃんは知ることになる。
死んだ者と、生きる人間
その距離の長さを…
次回
「幽霊と人間の距離」
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