第5話 英雄としての務め

 結婚指輪を渡して、しばらく経った後、この国、マルド王国の王のガイアがやってきた。家の周りは物々しい警備に囲まれた。そして、大事な話があるらしく、俺は応接間じゃ狭いので、急遽アレフとメイドに大広間にテーブルと椅子を用意させた。


 「まずは、結婚おめでとう。ジーク。」


 「まさか、ガイアが娘をよこすとは思わなかったよ。こうして、顔を合わせると懐かしいな。冒険の日々が、、、」


 「そうだな。」


 ジークは感慨深い感じになっていたが、ガイアは違った。


 「ジーク。来月、うちの第一王子が二十歳になる。そして、隣の国のムズリ王国の第一王女との結婚が決まっている。」


 「そりゃ、良かったじゃあないか、犬猿の仲が、終わるという事だな。」


 するとガイアは核心を言った。


 「ムズリ王国の第一王女に何をした?彼女は5年前、急にもう治らない病気が治って、うちの王国との架け橋になっている。」


 「実は、黄金竜を倒した際、命の霊薬をもらったんだ。それで、セシリアと一緒に戻り、ムズリ王国の第一王女に命の霊薬を飲ませた。」


 ガイアは頭を掻きながら、言った。


 「という事は、つまり、お前が架け橋になったんだな。向こうが突然、第一王女を結婚に出して来たのも、うちの王国との国交の話し合いの成功もそれが引き金か!?」


 「何か問題でも?」


 「いや、逆に都合が、良すぎるくらいに良いのだが、お前の人生はどうなる?せっかく、女性アレルギーを治して、子供を作るチャンスじゃなかったのか?お前は何故、人の為に尽くす、、、」


 泣きながら、ガイアはそう言った。


 「いや、子供ならもう居るんだ!セシリアという子供が!!」


 そう言って、ジークは笑顔を浮かべ、ガイアにハンカチを渡した。


 「そうか、お前にソニアを寄越して、本当に良かったと思う。ソニアは優しい子だ。お前に結婚指輪を渡されたと嬉しそうに手紙を寄越した。」


 「そうか。それを聞いてホッとしたよ。」


 「お前の女性アレルギーはこちらでも調査はしてる。三人の奥さんが居ても、俺も全然驚かない!

 お前は真の勇者で、本物の伝説の英雄ジーク=ゲトルドなのだから、、、」


 そして、ドアを開け、セシリアが入ってきた。


 「王様?お父様は悪い事をしたの?」


 「いや、逆だ!!お前のお父様は真の英雄だぞ!この国がさらに発展する大偉業を成し遂げたのだから、、、」


 とガイアはセシリアの頭を撫でた!!


 そして、娘のソニアとカレン、アステナも心配そうに、入って来た。


 「お父様?話し合いは終わったのですか?」


 とソニアは聞いた。


 「ああ、終わったよ。ジークは昔と変わらない、英雄としての務めを果たしたんだ。」


 「それは良かったです。お父様、、、」


 ガイアは娘のソニアの頭を撫でた。そして、、、


 「ソニアを任せるぞ。ジーク!!」


 「ああ、俺は結婚した三人共、幸せになってもらいたい。そして、セシリアも一緒にのんびりと暮らして行こうと思ってる!!」


 と言い、昔のように拳と拳をコツンと合わせて、


 「帰るぞ!馬車を用意して、皆、片付けを手伝え!」


 と言い、ガイアは帰って行った。 


 そして、二十歳になったガイアの息子はその日、ムズリ王国の第一王女と結婚して、さらに国が発展して行くのだった。そして、ジークの伝説はさらに1ページ、本に追加された。


 もちろん、ジークもセシリアも皆、結婚に招待され、立ち合い、ジークも今の結婚生活も良いかもな?と思っていた。


 

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