心に傷を抱えたご令嬢が、7つも年下の大公殿下と出会って溺愛される、甘々恋愛もの…と言いたいところなのですが、主人公イレイェンちゃんの心の声や、彼女の義母ロヴィーサ公爵夫人の突き抜けた面白行動などなど、笑えるポイント盛りだくさんで、終始楽しく読み進めてしまいました!
素直で素敵な女性なのに、年齢のせいで積極的になれないイレイェンちゃんをとにかく応援したくなります。お相手のミュルバリ大公殿下も、年下で可愛いと思っていたら妙に大人びてみたりと、ドキドキする展開も。
紆余曲折を経ながらも、過去のトラウマを乗り越えて幸せになっていく二人の素敵な物語。是非ご一読を!
己が果たせなかった志を子に託す……中世封建主義の時代ならアリアリで、達成できればキラキラの美談、未達でも一族の悲願にクラスチェンジしたりする謎仕様のアレです。
まして国王や皇帝を輩出または外戚になるのが夢、なんて人たちは洋の東西にゴロゴロいたものです。
本作の主人公イレイェンも、そんな、叶わない夢に蝕まれた亡き母親に呪縛されています。
周囲が変わっても、自分の夢じゃなかった夢に未練がなくても、愛されたかった相手に失望され続けた時間は、心を縛る呪いです。
結果的にタイトル通りの「いきおくれ病弱令嬢」となってしまったイレイェンの前に、幼い頃の出逢いで彼女に恋をした、やっぱりタイトル通りの「年下のはにかみ屋大公」アルヴィッドが現れます。
イレイェンを溺愛するアルヴィッドですが、彼もまた心に痛みを隠しており、甘く一方的な関係からお互いを結びつけ支え合う絆に、不器用ながら変わり始めるイレイェンの健気さが光ります。
国王夫妻との奇縁や、不穏な侯爵家兄妹の動向など、物語を飾る多彩な要素も見どころです!