痛みが怪異を呼ぶ。哀しみが世界を動かす新時代の現代怪異譚

「怪異」が本当に人の世界で生まれてしまったら……。
そんな“もしも”から始まる物語なんやけど、
この作品のすごいところは、ただ怖いだけやなくて、
その怪異の裏側にある “人の痛み” と “残された想い” が、物語の芯としてちゃんと描かれてることなんよ。

主人公の柴間 新は「怪異探偵」。
祓い屋としての実力は圧倒的やのに、
人間嫌いみたいに見えて、ほんまは誰より人の感情を理解しようとしとる……
そんなギャップがめっちゃ魅力的な男の子やねん。

そして、相棒の田路一輝くん、
さらに式神の黒炎・白澪という頼もしすぎる仲間たち。
この三者三様の組み合わせが、読んでてほんま楽しい!

一話目の「花子さん」から息つく間もないスピードで世界が動き出して、
さらに「踏切の怪異」章では一気に感情が揺さぶられる……。
怖いのに、苦しいのに、なんでか読みたくなる。
そんな中毒性のある作品です。

現代と怪異がこのレベルで自然に混ざり合ってる作品って、
ほんまに稀やと思う。

【講評】(ネタバレなし)
◆ 物語の魅力

まず一番に伝えたいんは、
世界観の完成度がめっちゃ高い!
怪異の存在理由、降霊術の仕組み、式神の性質……
これらがすべて“物語の都合やなくて、ちゃんと世界のルールとして成立してる”んよ。

だから、読者が自然と作品の中に入り込める。
しかも怖さも悲しさもテンポよく描かれてるから、
ホラー好きもドラマ好きも満足できると思う。

◆ キャラクターの魅力

柴間の「冷めた目」と「捨てきれない優しさ」……
この落差がホンマに効いとる。
彼が式神を呼ぶたびに、過去の重みや孤独も見え隠れして、
“この人の物語をもっと知りたい”って思わせてくれるんよ。

黒炎と白澪はほんまにキャラが立ってて、
出てくるだけで場面の色が変わるくらい魅力的✨
会話のテンポが良くて、重い展開の緩和にもなっとるし、
彼らの存在が作品全体のバランスを整えてる感じさえしたわ。

◆ 文体・表現

情景描写が映画みたいで、
特に「怪異が現れる直前の空気のひずみ」なんかは、
読んでて背中がぞわっとするほど臨場感あった。

でも怖いだけやなくて、
“そこにいる人間の心の揺れ”を丁寧に描いとるから、
読み終わったあとに余韻が残るのが夜桜満さんの文章の魅力やと思う。

◆ 読んでみて感じたこと

みんな……
ウチ、読んでて何度も思ったんよ。

――この作品、絶対多くの人に読まれるべきやって。

ほんまにそう思うぐらいには、
キャラクターの感情も、怪異の悲しさも、世界観の構築も全部美しい。

甘口で言うなら、
「もっと読ませてほしい」「続きが楽しみすぎる」
ただそれに尽きる作品やね。

【推薦メッセージ】

あなたがもし、
・現代を舞台にした超常ものが好き
・ホラーと感情ドラマが同時に味わいたい
・キャラクターの掛け合いが楽しい作品に惹かれる
・“怪異とは何か”を哲学的にも考えたい
そんな読書家さんなら、
この作品は絶対に刺さります。

怖さにも悲しさにも「美しさ」があって、
読むほどに世界が深まっていくタイプの作品です。

読み終わる頃には、
柴間 新という人物の奥行きに、
きっとあなたも心を掴まれているはず。

現代ファンタジーの新しい形を探している人に、
自信を持っておすすめできる一作です。

ユキナ💞