100周年セレモニー

第1話 100周年セレモニー エピソード1

「本日、創立100年目を迎えたゴスぺラス・ホールディングスから中継です。」


目的地に向かう途中。

商業ビルの大型ディスプレイから流れる音声で、ふと足を止めた。



「現在100周年セレモニーの準備が行われている会場に来ています。」

「会社より代表メッセージが届いています。ご覧ください。」

代表者のメッセージが、街頭に響いていく。


"エネルギー。

それは旧文明の大きな課題でした。

燃料の枯渇。


再生可能エネルギーなど新技術に活路を求める中、

ついに人類は生命エネルギー実用化の扉を開きました。


ゴスぺラス・ホールディングスはその先駆けとして、

常に時代の最先端技術を実現し続けました。

そして本日、ついに100周年を迎えることができました。"


なおも続く大層なメッセージを聴いていると、

「置いてくよ?」

前を歩く同僚からの声で、我に返る。



「ごめん、見ておきたくて。」

つい言い訳をこぼしつつ、彼女の後を追う。


先を行く黒髪の女性は特に気にすることなく、頷くと歩き出す。

後を追いながら彼はニュースの中継会場に想いを馳せる。


まさに今向かっている、仕事の現場へと。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る