地球は狙われているなんて、そんな話ではないです。完璧なようで悩みもある遼と、宇宙人だなんて嘯くような大和の、宇宙系青春物語です。疑われた大和を思って、地球を軽やかに駆け抜ける遼の姿が爽快でした。重力は振り切れない。広大な宇宙へは踏み出せない。ちっぽけな世界で生きている僕たちも、やっぱり宇宙人であり、地球人でしかない。等身大の青春は、ほんの一瞬だけ重力を越えるのかもしれない。泥臭いですけどね。
陽の当たる場所で生きてきた優等生と、誰にも相手にされなかった"宇宙人ごっこ"の少年——その不釣り合いな友情が、思いのほか心に染みる青春物語です。哲学的な問いをアンパンマンに絡めて語る掛け合いが軽快で、笑いながら読んでいたはずが、いつの間にか少し切ない余韻が残ります。何気ない日常の描写に見え隠れする違和感が、じわりと不穏な気配を漂わせていくのも見逃せません。青春小説の爽やかさと、謎めいた展開のドキドキ感を両方味わいたい人におすすめです。