理想の母親像

女「すずめの戸締まり見てさ、私の母親も私が小さい頃に死んでくれたら良かったのになぁって思った」

男「はぁ？　何、その感想？」

女「だってさ、そうしたら思い出の中の母親はずっと優しくて綺麗なままなんだよ。それがなんだか羨ましくて……。ほら、私の親って普通の人から見ても良い親じゃないじゃん？」

男「……なんかごめん」

女「最近、担当に毒親ばっかり描くなって言われて困ってるんだよね〜」

男「そうなんだ」

女「しかも、一番ヤバいのが私がそのキャラを良い母親として描いてるつもりだったってこと。だから私、良いこと思いついたの！」

男「良いことって？」

女「母親が元々いない人に理想の母親像を聞くの。そうすれば、毒親持ちの私でも完璧な母親が描けると思わない？」

男「だから、俺に急に会いたいって言い出したってこと？」

女「そう！　そゆこと。サイテーみたいな顔してるけど、私よりもあんたの方が先に父親のいない私に理想の父親像聞いてきたじゃん。つーか、それで脚本描いてたし。だから、これでどっこいどっこいだかんね」