ずっと気になってたこと

 私と黒崎は付き合っている。


 私が、黒崎に言った「化粧とかしたら絶対もっとかわいくなれるのに」という独り言を本人に聞かれたことから始まったこの関係は、黒崎のキザな告白に寄って成立した。


 かっこいいとか、可愛いとか、見た目がどうとかは置いておいて率直にその時に思ったのが黒崎と付き合ったらちょっと平凡だった日常に変化があるかもしれない。なんていうくだらない考えからだ。

 すばらしくもその予想はあっていて、黒崎と一緒にいたりデートしたりするのは楽しくて、全然飽きが来ない生活を送れている。


「黒崎帰ろう」

「いいよ」


 私たちのこの関係はほとんどの人にバレている。

 黒崎が、教室の中で人目を憚らず告白して来たからクラスメイトどころか同級生のほとんどが知っていると思う。

 最初は恥ずかしさもあったけどもうめんどくさくなって吹っ切れた。だから人目がある場所で二人で話すし、めっちゃ近い距離にもいる。


「黒崎ってさあ」

「なに?」

「なんで私なの?」


 ずっと気になってたことを、学校を出て少ししてから、何となくで聞く。

 なんで私なんだろう?ほかにもいっぱいいるよね。星の数ほど、とは言わなくてもこの学校は結構人数がいるはずだ。


「なんでって、どういう質問?」

「ん~。なんで私に告白したのかなって。」

「お姫様みたいだったからって回答じゃ不満?」

「お姫様って…」

「周りに人がいる人気者のお姫様をね、私のものにしたくなったんだよね。」

「変わった回答ね」

「そうだね。光物が好きなカラスと一緒だね~」


 自分で言っちゃうんだそれ。確かにすこし似たようなことを想ったけど自分で言っちゃうとは思わなかった。変な回答に、自分で言っちゃうところも含めてとても黒崎らしくていい。


「いや?」

「嫌って言えないでしょそれ」

「私は言えるかも」

「ふふっ、確かに言えそう」

「今の顔めっちゃ可愛かった」

「え?そんなことない。普通だよ」

「絶対かわいかった!もっかいやって!写真に撮りたい!」

「だめ。一回だけだからもうない」




========

この作品の真理に気づいた。

「これこれ。これでいいんだよ。こんなんでいいんだよ。」

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