短編集である本作は、現在三つの物語が公開されている。
いずれも「離れたくない」「ここにいたい」という純粋な願いが、現実の制約を超えていく物語だ。
その純粋な想いが、それぞれの心にある、静かな傷から生まれているのが切ない。
だがその切なさも、読者側の意識であって、主人公たちはただ、混じりけのない想いを大切にして、その願いを自らの結末に選んでいるのだ。
常識の世界では悲劇と捉えられる結末が、純度の高い願いの中に溶けていく。
幼さゆえに、想いが世界のすべてになる瞬間を、この作者は丁寧に、美しく描きこむ。孤独を抱えた子どもたちへの眼差しが細やかで、読む手が止まらない。
その純度の高さゆえに、結晶のように美しく、そして儚い。