『ダンジョンは金になる。』というタイトルから、多くの読者はダンジョンで稼ぎ、成り上がっていく王道の無双譚を想像するかもしれません。
実際、本作にも借金を背負った主人公がダンジョンアタッカーとして才能を開花させ、金を稼いでいく側面はあります。
しかし、この作品の本質はそこではありません。
本作は、はっきり言えば「ヤクザもの」です。
アタッカーたちは会社に所属していますが、その関係性や力学はクランというより“組”に近く、組織同士の対立はそのまま抗争として描かれます。
ダンジョンの話と思ったらヤクザの話だった。わけがわからねーぜ。
でもこのズレが、まず強烈に面白い。そんな作品です。
さらに特徴的なのは、安易な「ざまあ」に寄らない点です。
作者の大間九郎氏は、別作の「穴中ヌルの華麗なる貴族生活」でもそうなのですが、単純に巨大な力で相手を排除すれば終わり、とはしません。排除した後に生じる報復、恨みといった“その先”までを前提に、物事を現実的な落としどころに落ち着かせます。
そのため、一直線にカタルシスを得られる作品ではありません。
このリアリティは大きな魅力である一方、ダンジョン無双や明快な勧善懲悪を期待して読むと、もどかしさを感じるかもしれません。
だからこそ、本作は読者を選びます。
しかし、この“力学で動く世界”に面白さを見出せたなら、一気に引き込まれるはずです。
ダンジョンの皮を被った抗争劇。
その独特の世界観に触れたとき、気づけば深くはまり込んでいる――そんな作品です。