秋霖にしたためる

吉城あやね

まなざしと宝石

 人間の虹彩というものは得てして不思議なものだ。正面から見ると平面のようなのに、少し角度を変えれば、透き通って、宝石みたいに見えるのだ。

 ところで、私は人に見つめられるのは苦手である。自分は相手をすごく見つめてしまうのに。それはきっと、相手の宝石のような眼が、私の濁った内面を見透かすのではという不安があるからかもしれない。そしてまた、その眼に魅了されるから、私も人の眼を見ずにはいられないのだ。

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秋霖にしたためる 吉城あやね @ayanen0516

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