第10話 (27)
「やめたらどうやって生活するんですか?」
ようやく並んで歩ける。彼女はフードを深く被ってるけど。
お仕事ゆっくりやめる作戦は進行中。現在引き継ぎ作業中。
「どうにでも。海外の豪邸でもいいし、都内のマンションでもいいし。郊外の避暑地とかも押さえておこうか?」
「え、なに、お金あるの?」
「あるよ。82億」
82億。全地球の市民から1円ずつ徴収するシステム的なやつでしか聞いたことがない額。
「だから、お仕事やめて。あなたはわたしとずっと一緒。離れることは許しません」
「海外で何やってきたの?」
「秘密」
彼女。手を伸ばす。
「大丈夫。人は直接殺してないよ」
間接的にはどうなん。
「あなたと手を繋ぐときに、殺した手で繋ぐのはほら、良くないかなって」
そうですか。
手を繋いでみる。
ファーストキス以来の、身体接触。なんかちょっと、どきどきする。
「その、フードって。やっぱり色々と狙われうっ」
え。
刺された?
なに?
腹。
カッターナイフ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます