桜の若葉

aco

第1話

「ほぉんっ当に、就職でいいんだな?」


「は。……い」


 真面目なシーンでちょっと噛んだ。


「前にも言ったが、村越の学力なら、東大、京大クラスとは言わないが、国立の大学くらいなら、普通にしてれば受かるぞ?」


「両親にも進学を勧められましたが、高校卒業後は自分の道は自分で決めると誓いました」


 先生は静かに目をそらし、


「学校にも学校の都合ってもんがあって……」


「大人の都合は解りませんが、大学って、あとからでも入れるんですよね?」


「進学率が再来年の志願者数に……おう♪内申書その他諸々は校長に預けておくから、来年でも再来年でもいつでも来いよ」




「ありがとうございました」


 私は深く頭を下げ、進路指導室の扉を開いた。

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