第2話

月明かりが木々に囲まれた小高い山の上の広場を照らす。広場には簡易的な椅子と机が並んでいる。その机の上には竜の骨付き肉や魔猪のステーキ、鎧武魚類の刺身、草混麦の粉で作ったパン、さらには山葡萄のワインや花蜜と果物のケーキといった嗜好の逸品まであるという贅沢な食卓だった。その周りで祭りの当事者たる「ケルトの民」達が思い思いに楽しんでいた。「思い出してみろよ。俺が狩ったあのデケェ竜を。」「お前も立派な狩人になったものだな。」わいわいがやがや

 

 そんな中広場から少し離れた高い木の枝に彼女は座っていた。「いっせーのでーな鳴り響いたスタートの合図!なぞった線で結んだ世界!色付けてく!ここからぁー!」彼女は一人で歌っていた。小さなギターを抱えて、遥か古代の言語で遠い昔の歌を歌っていた。彼女の歌声は誇り高く蒼いほど若く澄み渡り遠くまで響いた。彼女の手つきは繊細でありながら力強く弦を鳴らす。「ロビンは相変わらず一人で歌を歌うのが好きだよね。」そういって彼女の隣に降り立ったのは彼女の兄であった。「もーお兄ちゃんは人が気持ちよく歌ってるところに」「ゴメンゴメン、ほら花のクッキーだよ。ロビン好きだろ、これ」そういってクッキーを差し出す兄に「アリガト」そして「えっヤバい!マジでウマい!」彼女は思わず笑みをこぼす。「そうだろー!ところでさっきロビンが歌ってた歌はなんだ?」兄が問いかけると彼女は「旧世界の歌で「かくれんぼ」って言うんだって!私この歌好きなんだ!先生との遺跡調査で見つけた「スマホ」って雷機遺物雷の力で動く古代装置を調べて発見したんだ。」すると兄は「そうかロビンももう高等学生だもんな。学園生活楽しめよ!ところで村に一人知らない奴来たけど知り合いか?確かトウヤって名前だが」ロビンは顔を赤くしながら「うん!私の大切な人。ちょっとトウヤを案内してくる。」そういうと彼女は木からぴょんと飛び降りると村の入り口へ駆け出す「トウヤァーー」彼女は叫びながら彼に抱きつく。「やっぱり来てくれたのね!ありがとー!」彼は「俺がロビンとの約束を忘れるはずないじゃないか。」という彼女は「そうよね、だって私のトウヤだもん!さっ早く村のお祭りに行こ!」

二人は村の中を散策する。「どぉ?このステーキ美味しいでしょ!私が狩った魔猪の肉なんだよ!」ロビンが問いかけるとトウヤも微笑みながら「これは旨いな!脂身がたくさんあって柔らかいのに後味がさっぱりしているよ!」「やったぁ!」ロビンがはしゃぐ。 

 「向こうにはもっと色々あるよ。こっちこっち!」ロビンがトウヤの手を引く

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崩壊世界のファンタジア 天廻月媛 @amanekaguya

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