随分昔に『盤上の王』と呼ばれていた主婦、ティナ。かつて彼女は事情があり、勝つことが全ての環境に身を置いていた。そんな過去にまつわる後悔を抱き続けているティナの元に、都市地主であるスイングラー家から依頼がやってくる。息子に『リムーブ』という盤上ゲームの手ほどきをして欲しいというのだ。ティナは一年という契約の元、家族と離れ一人で少年に挑むことになるのだが、彼は性格的に少々問題があって……。
読み始めた当初、『リムーブ』と言うゲームを理解できるだろうか。理解できなければ楽しめないだろうか? と心配したものですが、そんなことは杞憂でした!
もちろん、『宝石遊び』と呼ばれるこの盤上ゲームのルールを理解できた方が楽しめるでしょうし、彼らが盤上に様々な形の駒を置く際にも興味深く見ることができるでしょう。
しかし、ゲームのルールを理解できなくても全く問題ありません! 自慢できることではないですが、私はこうしたルールをすぐに理解することが苦手です。そんな私が面白くて最新話まで一気読みしたのですから!
この物語の見所は、家庭教師を務めるティナと、その生徒となる都市地主の事情アリ息子との交流にあります。
これまで多くの家庭教師を辞めさせてきた少年ロバートは、一筋縄ではいかない子供です。突然現れた父親に全く異なる生活環境へ連れてこられた彼は、自らを守るために幾重にも壁を作り、相手を貶めたり試したりしてきます。そんな難しい少年に対し、ティナは自身の過去とも向き合いながら、『リムーブ』を通して少しずつ近づいていくのです。
ヒリヒリするような緊張感のあるやり取りが丁寧な心理描写と共に表現されており、それがほんの少しずつ和らいでいく過程を、固唾を飲んで見守ってしまうお話です。
お薦めです(^^)!