最初からイスカのキャラが強くて、「この令嬢、絶対ただ者じゃない!」と思いながら楽しく読めました。
窓から皇帝の執務室に入ってきたり、冷たいノクスにもまったくめげずにぐいぐい距離を詰めたり、とにかく行動力がすごい(笑)
一方のノクスは、無愛想で「貴女に興味はない」とまで言うのに、実は皇帝から与えられた家で大切な老人と暮らしていたり、仕事を終えれば必ず帰宅したりと、知れば知るほど印象が変わっていくところが魅力的でした。
特に好きなのは、イスカが「三つの願い」を持ち出して、ノクスとの距離を少しずつ縮めようとするところ。最初は完全に温度差のある二人なのに、芋もちをきっかけに会話が増えていくのも微笑ましいです。イスカの元婚約者・セドリックも絡んできて、これからノクスが彼女をどう意識していくのかが気になります。
軽快な掛け合いと、少しずつ変化していく二人の関係を楽しめる作品だと思いました♪
「忘却の蝶は夜に恋う」というタイトルを目にした瞬間から、仄暗い夜氣に揺れる重色の蝶を思い浮かべました。物語を拝読し、何度も息を吐き、何度も胸を締めつけられました。雨音や薄墨色の空気が全篇に静かに漂いながら、ノクスとイスカ、それぞれの想いを描いていらっしゃるお筆致に、ただただ感嘆せざるを得ません。
ご執筆全編を通じ、世界設定の繊細さにも心打たれます。
北畠さんの筆致は、直截かつ情緒豊かでありながら、過度な装飾はせず、しかし要所要所で感情の流がほとばしるのが魅力です。
最終盤ではそれまでの伏線が回収され、なるほどそうくるかと感心させられる一方で、まさかのアレやコレも伏線になっていたことに驚かされました。
タイトルの意味はエモく、長い時間をかけて育まれたノクスの想いはとても綺麗で、読後は幸せな気持ちになりました。
恋とは何か──僕もまだ、よくわかりません。ですが答えの一つはこの物語の中にあり、ノクスが教えてくれたような気がします。