第2話 夕飯は大阪名物で?

 電車の中で、夕飯をどうするか話し合った。梅田で乗り換え、ホテルの最寄り駅である大阪天満宮駅へ行って、その周辺で食べるか。それとも梅田駅周辺で食べるか。もしくは梅田からホテルまで歩き、途中で食べるか。

 私がボランティアをやった時に泊まったホテルはもう少し梅田(大阪)駅に近い所だった。今回のホテルはその2倍の距離があった。歩けない距離ではないが、今から体力を消耗すべきではない。それから、迷う可能性が高い。

 梅田周辺でご飯を食べよう、と考えるのはちょっと危険だ。本当にどこでもいいと思っていれば入れるかもしれないが、どこにどんな店があるかを知らないのに、いざ梅田で降りてみたらどうなるか。前回もぐるぐる歩き回ったではないか。はっきり言ってカオスなので、当たりをつけていないなら、梅田で食べようとは思わない方がいい。今、たこ焼きが食べたいというざっくりとした希望があるから、どこでもいいという訳ではないのだ。

 歩けるよ、遠いよ、という押し問答があったが、やはり危険を冒さずに一駅電車に乗り、大阪天満宮まで行く事にした。


 JR大阪天満宮駅は、メトロ谷町線南森町駅とほぼ同じである。梅田駅では、乗り換えを一郎が先導してくれた。ずーっと地下道を歩いて行く。私がボランティア中に毎日通っていた地下道と似ているな。両脇にたくさんの小さいお店が並んでいる。そして、どこも同じようだから迷う。やっぱりダンジョンだな。今回は「谷町線」を目指しているから分かるが、そこら辺に表示などないホテルなどを目指していると、とんでもなく難しい。私はそれを一人でやってのけたのだ。いや、威張れる事ではない。多分私以外の人なら、もっと楽に探し当てたに違いない。

 一郎はどんどん先を行く。二郎が私のスーツケースを持って私と一緒に後を行く。その後ろを厚夫が行く。相変わらずのフォーメーションだ。しかしこれ、私のスーツケースをちゃんと見張っていないと、誰かが運んでいるだろうと思っていたらいつの間にか誰も持っていなかった!という事になり兼ねないな。

 やっと谷町線に乗れて、無事駅に着いた。そして地上に出てみると、アーケード街に出た。ここに食べ物がたくさんありそう。

 グーグルマップで当たりを付けておいた、評価の高いたこ焼き屋を目指した。見つけたのだが、なんとテイクアウトオンリーの店だった。どうするか、もうホテルも近いしテイクアウトしちゃうか?と思ったら、

「ちゃんと入って食べよう。」

と厚夫が言ったので、そのたこ焼き屋はなし。後は目視で店を探し、鉄板焼きの店があったので早速入った。もう、これ以上遅くなるのは嫌なのだ。夕飯の時間にしては遅くなっている。とはいえまだ8時前だが。

 割とすぐに通されたが、狭い席だった。4人掛けのボックス席だったのだが、何しろスーツケースなどを持っている身だから。厚夫と同じ体格の人がもう一人いたら座り切れなかったかもしれない。割と人気のお店みたいで、若い客がたくさんいた。そして、メニューの中にたこ焼きがなかった……。

 お好み焼きは自分で焼くが、焼きそばやとん平焼きは焼かれた物が出てくるというシステムだった。お好み焼きを2つ注文したので、息子たちが1枚ずつ焼いてくれた。私は少な目に食べる。厚夫が生ビールをいっぺんに2杯注文した。運んできたおっちゃんが、

「ドリンクバーはあちらですから、ご自由にどうぞ。」

と、2回言っていたが、誰もドリンクバーは頼んでいないのだった。水で。すんません。お腹の調子が本調子ではないのと、酔って寝たら呼吸困難で死ぬかもしれんと思うと怖くて酒を飲めない。また、具合の悪い時は飲みたいとも思わないものだ。ビールを一口だけもらったが、それほど美味しいとも思わなかった。

 私や二郎がほどほどにするので、胃の方は丈夫な一郎が、

「いつもよりかなりお腹いっぱいだ。」

と言って驚いていた。一郎は胃が丈夫というか、大食いなのだ。その一郎がお腹いっぱいとは。食べ過ぎたかと思って少し心配した。


 さて、店を出てホテルへ。途中コンビニで水を買った。初めての店はシステムが分からず、セルフレジがあったのにスルーしてしまい、店員さんのところで水1本買おうとして、QUOペイでと言ったら使えないと言われた。QUOペイは万博のボランティアをした時に、交通費としてもらったものだ。コンビニでは積極的に使おうと思ったのだが、ファミマでは使えないそうだ。それならQUOカードでと思ったら、持って来ていないと思ってしまった。実はあったのだが……肝心な時に見つけられないアホな夏子……。

 ホテルにチェックイン。夫婦と息子たち、ツインの部屋をそれぞれ予約してあった。行ってみたら隣だった。

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