第7話 オシリアスの海近辺 01
「ふぅー・・・」
「落ち着いた?」
「ごめんなさい、取り乱して・・・」
「ほんっとーに痛みが好きなんだねぇ」
「はい・・・想像しただけで、こう・・・ニヤけてしまうんです・・・」
「ふふっ・・・やっぱ君って面白いね!」
ユーシィさんは私に少し近寄ると、ほのか〜な熱が籠ってるティーカップに添えられている私の片手に触れる・・・
「そんじゃあ、さっそく行っちゃおっか?」
「えっ?」
「もちろん、【オシリアスの海】にだよ」
ユーシィさんはそう言うと私にウィンクして見せた。
その直後、ティーカップのミルクティーをもう一口飲もうとした瞬間に、一瞬視界が暗転したかと思えば
次の瞬間には、想像を絶する熱気が私の身体を覆い
全身が沸騰し、蒸発して行く様なインパクトを感じ得たかと思えば
手元を見ると、手に持っていたティーカップはドロドロに溶け、ぴちゃぴちゃと地面に落ちて行っている。
「じゃーん!【オシリアスの海】の近辺まで瞬間移動しました〜」
ユーシィさんが私の視界から外れると
私の眼に真っ赤な空と、赤黒い溶岩地帯の様に
ゴツゴツとした大地が映った。
「どう?熱さは""守備範囲""?」
「ゆ・・・ユーシィさん・・・・・・」
私は、当たり前にも人生で一度も感じたことの無い
全身が沸騰し蒸発する""痛み""に耐えようと試みたものの、どうしても堪えきれなかった。
「さ・・・・・・さ・・・さひこうでし・・・・・・」
当然、【快感】に。
自然と綻んで行く表情を抑えようと
私は必死に意識を顔に集中させてみたものの
一瞬で顔が快感のあまり脱落し綻んでしまった。
「いや!み・・・見ないでくだひゃい!こんな・・・・・・・こんなダラしない顔!!!」
「いや、今更ぁ!?さっきから君の火照った顔、もう何回も見てるっての」
「やだ!見ないでくらはい!」
私は両手で顔を覆い隠し、ユーシィさんから顔を背ける。
連続して、想像を超える痛みを感じていたら
耐性がついたのか、感覚のうち、今まで薄れていた
羞恥心が興奮時もまともに働くようになってしまい
今、ダラしなく崩れている自分の顔を誰かに見られる事を
わたしはとてもつもなく、こう感じている
めえええっちゃ恥ずかしぃぃぃ・・・・・・。
「それにしても、一瞬蒸発しかけて直ぐに""元通り""になるなんて・・・君の身体、マジ意味不〜」
「(元通り・・・?)」
私はユーシィさんに言われ、ふと、顔を覆っていた手を顔面から離して見てみると、何の火傷の後も爛れた後も無い、普段通りの手に戻っていた。
「今、どんな感じ?熱い?それとも・・・何も感じない?」
「えっ?えっと・・・・・熱いというより・・・ぜっ・・・・・・全身が・・・・・・焼けるみたいに超痛くって・・・・・・ひひっ・・・・・・って!見ないでええええっ!!」
気が抜けると、つい、綻んでしまい、またダラしない顔を見られ恥ずかしくなった私は即座に再び両手で顔面を隠した。
「今の""空気の温度""自体は感じてるって事は熱耐性や
「あ・・・あの・・・」
「ん?」
「それ多分、私が転生する前に、姿の見えない神さまみたいな人にお願いしたからかもしれません、再生した後受けた痛みは身体にしばらく残るようにして欲しいって、だから、本当はもう何も感じてないのかもしれません」
「あぁ、なるほどー!・・・っていや、それはそれでか聞いたことも見た事もない体質だし、アイツ・・・そんな器用なカラダ作れんのかよ・・・・・・今度会ったら聞き出してやろうっと・・・・・・」
「ユーシィさん、知り合い何ですか?」
「まぁね、300年前に一度会ったきりだけど」
「さ・・・300年前!?ユーシィさんっていくつ何ですか?」
「んー??」
しまった!""300年前に会った""なんて言う衝撃のワードへの驚きのあまり、頭に浮かんだ疑問を思わず口に出してしまった・・・!
「あっ・・・!ごめんなさっ・・・・・・い・・・・・・?」
肩を抉られるかのような重く鋭い衝撃を感じたかと思えば
ドサッ・・・・・・
私の片腕が私の身体から切り離され、赤黒い地面へと落下していた。
「ユーシィさん・・・ひひっ・・・いきなり斬らないでくらはいよ・・・・・・た・・・・・・ただでさえ・・・今、堪らへるのにひっひらのに〜ひっうひひっww」
「酔っ払いかよ〜あと、私じゃないよ、今腕斬ったのは」
「へ〜?」
反対側の肩にも同様に重くて鋭い衝撃を感じたかと思えば、衝撃が走った腕の方を目で見ると
着いて在るべき筈の腕も同じく、断絶され、地面へと転がっていた。
「200年ぶりに顔を出したかと思えば、お前、""ただの人間""には興味なかったんじゃないのか?」
初めて聞く人の声が耳に入った
私が声が聞こえた方向に振り向くと、そこには
青と下の方は赤い色のドレスを着た橙色の髪で褐色肌の、まるで海外のモデルさんみたいに淡麗な女性が立っていた。
「それとも・・・私への土産か?」
「ちっすーオッシー!」
「その呼び方はやめろと言った筈だが・・・?」
女性がユーシィさんの呼び掛けに対して怒りの混じった声で返答すると片手を上げ、指を鳴らした。
パチンッと指が鳴る音と同時に、ユーシィさんが立っている地面から青く太い光の柱が空に向かって発射され、ユーシィさんは消し飛んだ。
「えっ・・・・・・?」
「うんしょっと・・・ちな、オッシーのお土産じゃないよ〜彼女は私の研究材料、まぁ、被験体・・・みたいなとこ?」
青い光の柱で消し飛んだ筈のユーシィさんは
いつの間にか、私のすぐ側にいて、地面に落ちている私の片腕を拾いあげていた。
「とりま、サンプルにちょーど彼女の腕斬ろうと思ってたから、あり〜」
ユーシィさんは中腰のままヒラヒラと褐色の女性に手を振ってみせると、私の腕をローブの中に閉まった。
「貴様ぁ・・・!」
褐色の女性は更に怒りの籠った表情で唇を噛みながらユーシィさんを睨んでいる。
「ところで・・・ユーシィさんやっぱりさっき聞いた事怒・・・・・・」
「ううん!ぜんっぜん怒ってないよ〜・・・・・・・・・""今は""ね」
やっぱり、さっきは怒ってたんだ・・・・・・。
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