第13話 アリサ

「この度は、助けて頂いて有難う御座いました」

『ふむ。 お前は驚かんのじゃな』

「何をですか?」

『魔杖であるワシが喋っておる事にじゃ』

「いやぁ、魔法少女が持っている杖とか鎌とかガントレットとかブーツとかが喋るのは普通だと思っていたので…」

『何? ワシの他にもインテリジェンス・マジック・ロッドがおるのか?』

「まぁアニメの話ですけど」

『アニメとは何じゃ?』

「架空の物語だと思って貰えれば…」

『何じゃ。 お伽噺とぎばなしか。 てっきり同類が存在するのかと思ってしもうた』

「でも、喋る剣とかありそうじゃないですか?」

『そうなのか? まぁワシがおるんじゃし、インテリジェンス・ソードくらいは存在するかも知れんの』

「まぁそれもアニメの話ですけど」


 変な娘じゃな。 いや、これ位の子供はお伽噺に憧れるのは当然か。


『それでお主はこれからどうするつもりなのじゃ? その歳では移動すらままならないじゃろ』

「そうですねぇ、一応の養父だったトムおじさんも殺されてしまいましたし、両親は他界してますし」

『お主、ドライじゃの』

「だって小心者のくせしてケチで意地が悪い人だったんですよ。 今回も護衛の依頼料をケチった結果ですし、いつかはこうなっていたんだと思います」

『悲しくは無いのか?』

「別に。 外面だけは良いので人がいる時はマトモに扱ってもらってましたけど、半分奴隷みたいな状態でしたから」

『だからと言ってどうする? ココでは街に戻るのも一苦労であろう? 何せ盗賊が出る様な辺鄙へんぴな場所じゃし』

「そうなんですよねぇ」

『馬車は一応残っておる様じゃぞ。 それで移動するか?』

「御者スキルがないので運転も覚束おぼつかないですし、それにゴブリンやフォレストウルフが出ただけで詰みますね」

『まぁの。 外れとは言え、一応魔の森じゃしな』


 そうでなくとも、少女一人で生きていくのは辛かろうし。


「あのぉ、杖さん」

『リーンじゃ』

「リーンさん。 私を雇いませんか?」

『雇う? ワシが?』

「えぇ、だってそのままじゃぁ街中にだって入れないでしょ?」

『いや、別に街なんぞに用は無いのじゃが…』

「お給金だっていりません! 三食与えてくださるのなら!」

『うーむ。 別に小間使も必要ないんじゃが…』

「ソコを何とか!」


 グイグイ来るのぉ。 それだけ生きるのに必死と言う事か。


『ならば弟子にするのはどうじゃ?』

「弟子…ですか?」

『そうじゃな。 研究助手も兼ねた弟子じゃ』

「それで良いです! 師匠!」

『いや師匠は色んな意味でアウトな気がするので、リーンで』

「はい。 宜しくお願いします、リーン先生!」


 勢いで弟子にしてしまったが、これで良かったのじゃろうか?


『さて、それでは馬車はどうする。 馬を潰して食料にでもするか?』

「苦しまない様にお願いします」

『何だかトムおじさんと扱いが随分と違う気がするのじゃが?』

「この子の面倒は私が見ていたのです。 だから少し愛着があって」

『そんな話をされたら潰せんではないかっ! もう良い。 馬車はワシが引いていく。 お主は荷代にでも乗っておれ!』

「有難う御座います」


 馬のクツワを念動で引っ張って、森の中を進んでいく。 とは言ってもマトモな道など無いので、馬車の車の部分だけをアイテムボックスに収納し、アリサは馬に素乗すのり状態だ。


「まだ掛かるんですかぁ? お尻が痛いんですけどぉ」

『それ位我慢しておれ! 到着まではあと半日は掛かるかの』

「少し休憩させて下さい」

『ちっ、仕方が無いのぉ』


 馬も休憩させて、アリサが馬の世話をする。 ついでに押収した干し肉やパン、水袋なんかも手渡しておく。


 するとアリサは水を馬に与えた後に、食事をしだした。 腹が減っていたのか、中々の食べっぷりだ。


 ワシは周囲を警戒しながらその様子を伺っていると、アリサは船を漕ぎだした。


『詳細鑑定!』


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 名前   : アリサ

 種族   : 人間

 性別   : ♀

 年齢   : 8歳

 レベル  : 3

 生命力  : 20/20

 保有魔力 : 10/10

 賢さ   : 200

 素早さ  : 20

 器用さ  : 50


 取得魔術 : 生活魔術Lv1


 スキル  : 算術Lv10、商いLv3


 称号   : 『異世界転生者』


 状態   : 疲労・睡眠

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『ちっ、仕方がないのぉ』


 寝ているアリサを馬の背に載せて念糸で括り付ける。 そしてまたクツワを引っ張って家の方に向かう。


 こんな手間の掛かる弟子は普通ならお断りなんじゃがのぉ。


 そんな事を考えながら、魔の森の中を進んで行った。


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