第20話
初夏の風が吹く土曜日。
小さな結婚式場のチャペルには、懐かしい顔ぶれが集まっていた。
白いドレスに身を包んだ篠原結衣(しのはら・ゆい)は、扉の前で深呼吸をした。隣に立つ湊(みなと)が優しく微笑む。
「大丈夫。俺が一緒にいる」
「……うん」
扉が開くと、拍手と歓声が二人を包んだ。
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二 それぞれの道
式には高校時代の仲間たちも駆けつけていた。
桐谷瞬(きりたに・しゅん)はスポーツメーカーでの経験を活かし、今や国内トップチームのアドバイザーを務めている。相変わらず明るく、式の間も笑いを誘っていた。
白川透(しらかわ・とおる)は外資系でキャリアを重ね、海外を飛び回る日々。それでも友情を大切にし、スピーチではユーモアたっぷりに二人を祝福した。
橘琴葉(たちばな・ことは)は音楽教室で子どもたちを指導しながら、地域のオーケストラで演奏を続けている。彼女は涙ぐみながら花束を差し出した。
「本当に、おめでとう。湊くん、結衣をよろしくね」
大学時代の森川紗月(もりかわ・さつき)は出版社の同僚として、湊の苦楽を共にした戦友。
広告代理店の早瀬航(はやせ・わたる)は、結衣にフラれた過去を笑い話に変えながらも、心から祝福の言葉を贈った。
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