第17話

再会をきっかけに、湊と結衣は時折食事に行くようになった。


「出版社って大変そう」

「広告代理店の方が大変だろ」

「まあね。でも……こうして誰かと話してると救われる」


 結衣の言葉に、湊は胸が温かくなった。

 二人で笑い合う時間は、高校時代の懐かしい空気を思い出させた。


 しかし同時に、結衣の隣に航という存在がいることも知っていた。


 ある夜。仕事帰りに航が結衣を呼び止めた。


「結衣、俺はずっとお前のことが好きだ。付き合ってほしい」


 突然の告白に、結衣は戸惑った。

「……ごめん、航。あなたは大事な同僚だけど……私、まだ誰かを忘れられないの」


 航は苦笑し、「そうか」と答えた。

 彼は大人らしく身を引いたが、その瞳に悔しさが滲んでいた。

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