第16話
ある夜。
湊は出版社の飲み会の帰り、繁華街の交差点で見覚えのある後ろ姿を見つけた。
「……結衣?」
振り返った彼女は一瞬驚き、それから笑顔を浮かべた。
「湊……! 偶然だね」
それは四年ぶりの再会だった。
お互い社会人として大人びた雰囲気を纏っていたが、心の奥の懐かしさは一瞬で蘇った。
「元気そうだな」
「まあね。忙しいけど、何とかやってる」
短い会話だったが、湊の胸に強く残った。
結衣の職場は華やかだが苛烈でもあった。
企画が通らなければ叱責され、徹夜でプレゼン資料を作ることも多い。
そんな彼女を支えているのは、同僚の 早瀬航(はやせ・わたる) だった。
二つ年上で仕事ができ、部内からの信頼も厚い。
「結衣、今日も頑張ったな。飯でも行くか?」
「うん、ありがと」
航は彼女に好意を寄せていた。だが、結衣の心はどこか遠くを見ていた。
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