第12話

失恋の痛みを抱えたまま、湊は授業に身が入らなくなった。

 そんな彼を支えたのが紗月だった。


「失恋した? 顔に書いてある」

「……バレるか」

「バレバレ。まあ、大学生なんて失恋と試験でできてるようなもんだよ」


 彼女の明るい冗談に救われる。けれど、心の奥にある空洞は埋まらない。


 夜、ふと結衣のSNSを開くことが増えた。

 楽しそうに笑う写真。けれど、どこか無理をしているように見える。


(結衣……今、何してるんだろう)


 その想いは、まだ言葉にならなかった。

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