第11話

二年目の秋。

 湊は偶然、大学のカフェテラスで琴葉と佐久間が親しげに話しているのを見てしまった。


「湊くん!」と琴葉は慌てて声をかけたが、その笑顔はどこか引きつっていた。

「誰?」

「先輩だよ、指導してくれてて……」


 しかし湊の胸には重たい疑念が広がった。


 その夜、湊は琴葉に問いかけた。

「最近、俺たち……前みたいに会えてないよな」

「ごめん。本当に忙しくて……」

「でも、佐久間先輩とはよく会ってるんだろ」

 琴葉は沈黙した。


 やがて、彼女は小さな声で言った。

「……ごめん、湊。私、気づいたの。あなたのことは大切だけど、恋人としてじゃなくて……友達の方が自然なのかも」


 湊は言葉を失った。

 その瞬間、二人の関係は終わった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る