第4話

秋のある日。

 放課後の教室で、琴葉が湊を呼び止めた。

「文化祭のとき、支えてくれてありがとう。大道具、すごく助かった」

 柔らかな笑み。湊の胸が高鳴る。


 けれど、琴葉の表情がふと真剣になる。

「透くんとは……仲良くしてるけど、特別な気持ちはないの」

「え……」

「ただ、周りに勘違いされちゃって……。湊くんは、どうなの?」


 心臓が跳ねる。答えようとした瞬間、扉が開いた。

「湊!」

 結衣が駆け込んできた。目に涙を浮かべ、息を切らしている。

「私……ずっと、湊のことが好きだった!」


 その場の空気が凍りついた。

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